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育老日記・痴呆の症状と向き合う備忘録



■ショートステイ4日(土)まで2004/9/1(水)
 朝父を確認しに行ったらベッドからずりおちそうに熟睡していた。
そのうち起きて来て、フリースを着て出かけようとする。
ポケットに部分入れ歯が入っていたので、歯医者に行こうとしていたらしい。
以前飲み込んだと思い込んでからどこかに入れ込んでいたのを、
発見したものだから歯医者で治してもらおうとしたのだろうか。
室内に戻してフリースを脱がせたらまたベッドで寝てしまった。
起して朝食を食べさせて歯磨きをヒゲソリをした。
午前9時にお迎えバスに嬉しそうに乗り込む。
今回は4日(土)までのショートステイ。
9月予定
デイサービス:13/20/27/29
ショートステイ:1〜4/6〜11/15〜18/22〜25

■体育祭どうしよう?2004/9/3(金)
 町内の体育祭の会議の為に父はショートステイで泊り。
気兼ねせずに参加したら、体育祭の日程が9月26日だと知らされた。
他の班の担当者も「初めて聞いた」と言っていたので、
知らなかったのは私だけじゃないはず。
ところが「回覧版で日程は連絡してあるので、
参加者は自主的に競技に出てもらうということで」
なんてことを司会が発言しているし。
日程が解かっていたらショートステイの予定を入れていたはず。
前日の準備が午後5時から。当日は朝6時30分から。
ちょっと待ってよ。
うちみたいに目が離せない痴呆症の人間がいる場合はどうすりゃいいの?
子供の数も減っていて無理な地域交流するならやらなきゃいいのに。
体育祭当日は迷惑でも連れて行って、
町内の人に父の相手してもらうことにしようかと画策中。
■蕎麦打ち?2004/9/4(土)
 午後4時帰宅した父は送りの車の中から何か話していた。
「蕎麦打ちをやるんだよ。×××(聞き取れない)
車三台で移動してきたんだ」と興奮ぎみ。
職員さんと利用者の方に挨拶して室内に入れた。
部屋に入っても蕎麦の話をしている。
帰りの車の中で話題になったのだろうか?
お茶を飲ませて落ち着かせたら、いきなり外に出て行く。
「蕎麦を打つのに、みんなが来てるんだよ」と言い出した。
「みんな自分の家に帰っちゃったよ。
さっきバイバイって言って帰って行ったよ」と言っても納得しない様子。
その時郵便が届いて、市高齢福祉課に提出する書類が入っていた。
内容を読み聞かせて、父にも読ませた。
理解しているのかどうかは不明だけど、
やっと蕎麦の話題は忘れたらしい。
夕食を食べさせた頃には落ち着いていた。
■歯医者2004/9/5(日)
 午前中降っていた雨がやむと、父が庭に出てうろうろしていた。
声をかけてみたら「歯医者に行くんだ」と言い出す。
先日の部分入れ歯を見つけたときから気になる様子。
「入れ歯を作り直すの?それとも歯が痛い?」と訊いてみると、
「そうじゃないけど」と歯医者に行くという事だけが記憶に残っていて、
何のためにという目的が欠落している。
「日曜日は歯医者休みだよ」と室内に入れた。
午後近所の方が父を心配して訪ねて来てくれた。
父は誰かも解からないらしく、ただ呆然と立っていた。
おかしな状態だったので外で話すことに。
しばらくして父に誰だったかを訊いてみると、
「見たことあるような気がするんだけど誰だ?」と
親しくしていた人なのに解からないらしい。
思い出そうとして疲れたのかベッドで熟睡しはじめた。
夕方起して夕飯を食べさせた。
夜9時30分過ぎ妄想を見たのか、どこかの店にいると言い出す。
家に居るという認識は無いらしい。
また熟睡した後起きて部屋の中をうろつく。
夜11時にどこかに行こうとしていた。
半紙に鉛筆書いたものをイスの上に置いたので見てみると、
「先生しばらく御無沙汰していました
先生に見て又来たいと思いますが去ボン踊り大会に
参加しようと入ろうとして
頂きたくこの三日尋ねて見ますが
不在なもので困っております」という文章。
先生・盆踊り・見てというキーワードから、
歯医者に行って入り口にでも置いてこようと思ったのか?
書かれた紙を隠して眠剤を飲ませて寝かせた。
今日も「いなくなった時に探せばいいや」と自分に言い聞かせた。
■ショートステイ11日(土)まで2004/9/6(月)
 朝起きて父を確認すると熟睡していた。
夜中に納豆を食べた跡があるので、
ご飯も食べたかなと炊飯器を開けたら、
ご飯と納豆がほかほかに温まって入っていた。
やられたって感じ。そっと廃棄した。
父が起きて来たので座椅子に座らせてヒゲソリと整髪。
「今日は月曜日だね」と言ってみると、
「火曜日じゃないんか?」と間違えている。
寝て起きたら一日が経過してしまう感覚だと、
曜日や日付の感覚など無いのだろうな。
午前9時お迎えバスに嬉しそうに乗り込む。
今日から11日(土)までのショートステイ。
■台風一過2004/9/8(水)
 台風の影響で風が凄かった。
父はショートステイだったので心配せずに過ごせた。
強風の中を徘徊したらどうなってたか想像してしまった。
今日台風一過で暑さが戻ってきた。
■カード解約2004/9/9(木)
 父が使用しなくなったカードを解約してきた。
年会費だけが引き落とされていて、この一年使用していなかったので。
何かあった時の為に普段から連絡先や手続きしないといけない事を
書き残して置かないとと思った。
■要介護3継続2004/9/10(金)
 先日の介護認定調査の結果が送られて来た。
要介護3で有効期間は平成16年10月1日〜平成17年9月30日まで。
■帰宅2004/9/11(土)
 午後4時帰宅。
父にとっては仕事の休みが取れたので来る事の出来た、
何処かの場所らしい。
ヒゲが伸びていたので座椅子に座らせてヒゲソリと耳掃除をした。
頭髪にフケがあったので濡れタオルで拭く。
シャンプーの後のすすぎが足りないのかなと思ったり。
年齢的に頭皮が弱くなっているだけならいいんだけど。
拭いたついでに頭をマッサージしてみたら、熟睡してしまった。
その後、起して夕飯を食べさせた。
■敬老会2004/9/12(日)
 午後12時から町の集会場にて敬老会がある。
時間の約束をするとすぐに行動したくなるようで、
朝早くから「まだ行かないのか?」とうろうろする。
解かっていても、もしかしたら今日は大丈夫かな?と、
朝方に敬老会の話をしてみたのだけど。
やっぱりダメだったみたい。
ヒゲソリと整髪をして、真新しいシャツを着せた。
ちょっと早めに会場に連れて行く。
いつ「帰る」と言い出すか解からないので、
ついでに配膳のお手伝いをした。
元気なお年寄りに囲まれて、黙ったままの父。
たまに昔馴染みの人と話をしていた。
普通の会話についていけずに戸惑っている様子。
アルコールが入って真っ赤な顔をしていた。
1時間くらいで閉会。お土産を貰って帰宅。
帰りは迷わずに家まで戻る事が出来た。
■誰か解からない2004/9/13(月)
 夜中に何度も冷蔵庫から食べ物を取り出して食べてしまう。
「お腹空いてるの?」と訊くと、「お腹空いてない」と言う。
何かをしなければというのが食べるという行動に出るのかも。
朝父を確認しに行くと、ベッドの上でビックリした表情をしていた。
知らない人を見たので驚いたといった感じの表情だった。
今居る場所も家族も認識できないらしい。
そのまま寝かせておいて、午前8時30分に起こした。
ヒゲソリと整髪をして、お迎えを待つ。
ちょび(介護犬)が父にじゃれついていたので、
父は嬉しそうにしていた。
午前9時お迎えバスが来た。
午後4時30分帰宅。
連れてこられたから来たという感覚らしい。
お茶を飲みながら今日何をしたかを訊く。
カラオケと体操をやったとのこと。
「ここに寝ていいんか?」と自分のベッドを指差す。
「疲れただろうから夕飯まで寝てていいよ」と寝かせた。
■11月の予約2004/9/14(火)
 朝父を確認しに行ったら熟睡していたので、
朝食の用意が出来てから起こした。
食べ終わった後に鍋や食器を棚から持ち出していた。
巨大な麺切り包丁と、麺棒を持ってうろうろする。
お蕎麦を打とうとしてるのかも。
「お蕎麦は作らなくてもあるからいいよ」と、
取り上げて隠してしまった。
何をしていいのか解からないらしいので、
半紙と手本を用意して文字を書かせることに。

ケアマネEさんから11月のショート予約をしていた分が取れたと連絡があった。
11月12日(金)〜17日(水)

予約でお願いしていた日以外のショートとデイの予約を計画。
ケアマネEさんに追加予約をお願いした。
■ショートステイ18日(土)まで2004/9/15(水)
 朝父を起こして準備させた。
夜中起きて半紙に絵らしきものと文字らしきものを書いていた。
半紙を数枚重ねて、なぜか斜めに折り返すように書き込んでいる。
以前父が作成した文字の崩し方の事典を見ながら書いてるのだけど、
どの文字を見て書いてるのかが判別できない状態。
それでも書こうとする気持ちが残っているようで。
午前9時のお迎えバスに嬉しそうに乗り込んだ。
今日から18日(土)までショートステイ。
近くのグループホームに空きがあるという情報をもらったので、
電話連絡して見学させてもらった。
個室には備え付けのベッドとタンスがあって、
手洗いの水場と半畳分の木製ロッカーがあった。
9人単位のコミュニティが3箇所。
父より痴呆の程度の軽い人がいっぱい。
空きがあるのは女性用の部屋だったらしく、
男性用は3〜4人待ちとのこと。
すぐ空く予定の人は、骨折して入院した後に受け入れ先がなくて、
以前入所していた部屋で特養入所まで待機しているらしい。
グループホームは自立している痴呆症の人専用なので、
寝たきりになったりしたら出所しないとならない場所。
特養の順番待ちをしてる人も。
一応申し込みをして来た。空きが出たらすぐ連絡してくれるらしい。
※許可を貰って内部(食堂)を撮影してきた。
■家族介護慰労金申請2004/9/16(木)
 家族介護慰労金が出るとのことで、
宇都宮市の高齢福祉課に問い合わせてみた。
要介護3以上の認定を6ヶ月継続経過した
65歳以上の在宅高齢者を介護している家族に支給。
要介護3の高齢者介護の場合月額5,000円
4の場合月額8,000円・5の場合月額10,000円
4ヶ月ごと(4・8・12月)に金融機関に振り込まれる。
申請は郵送でもOKで、介護被保険者証のコピーを同封とのこと。
父の認定は要介護3に最初になったのが今年3月26日。
(要介護2から再認定審査してもらったので)
今月で6ヶ月の経過になる。
申請すれば貰えるので申請することにした。
用紙はネットからプリントアウトしたものを使用した。
宇都宮市では実施していても、他の市では廃止になったりしているらしい。
■帰宅2004/9/18(土)
 父の部屋のセンサー付きライトが暗くなってきたので、
乾電池を取り替えた。
午後4時帰宅。
施設からショートステイ時の連絡メモが入っていなかったので、
いつもと変わりがなかったようならいいやと納得する。
父に「今日は何したの?」と訊いてみた。
「お風呂入ってカラオケしたんだ」と。
お茶と葡萄を出したら「今年の葡萄は甘くないな」と言い出す。
「夏が暑かったから、今年の葡萄は甘いでしょ」と食べさせると、
「砂糖舐めてるみたいに甘いな。今年の葡萄はどこのも甘い」って。
さっきと言ってる事が違う。思わず笑ってしまった。
考えて話すということが出来ないらしい。
だらだらとこぼして食べていたので、
「机の左にあるティッシュ取ってくれるかな?」と頼むと、
右側を探し始めた。左右の感覚がなくなっている。
ヒゲが伸び放題になっていたので、座椅子に寝かせてヒゲソリと耳掃除をした。
夕食後、爪が伸びていたので手足の全部の爪を切った。
そのまま座椅子で熟睡しはじめたので寝かせておくことに。
■画鋲が刺さる?2004/9/20(月)
 夜部屋の電気を全部消して歩き廻っていた。
最近の父は普段から変な行動をしているので慣れてしまった。
2時間のサイクルで寝て起きてご飯食べて、
思いついたことをやり始めては飽きて放り投げる。
書き物をした後、部屋がめちゃくちゃになっていたので、
寝ている隙に全部片付ける。
食器棚に冷蔵庫の中身を移していたので、また寝ている隙に戻す。
「何でこんなことするの?」という質問をしたとしても、
父にも解からないのだろうな。
何かをしなければという行動が理解の範囲を越えている。
今日はデイサービスなので、朝食後寝かせてヒゲソリをした。
鼻毛が伸びていたので切る。
整髪をしたら嬉しそうに鏡をずっと覗いていた。
午前9時お迎えバスに自分で荷物を持って乗り込んだ。
午後4時帰宅した後お茶を飲みながら「お尻が痛い」と言い出した。
痛みを訴えない父が言うのだから、相当痛いのだろうと思った。
「痔」なのか、「打撲」なのか症状を訊いてみると、
「画鋲が刺さっている」と言い出して、パンツまでおろして見せようとした。
父の指差す場所はお尻じゃなく、太もも部分。
どこが痛いのか触って確認していったら、どんどん場所が変わっていく。
「今も痛みがあるの?」と訊くと「痛くないな」と。
神経痛だったのかどうかは不明。
痛みの妄想っていうのもあるのかな。
■お彼岸2004/9/21(火)
 昨日のうちに100円ショップで造花を購入しておいた。
父を連れてお墓の掃除とお参り。
気温が上がっているので、二人揃ってタオルを頭に巻いた。
軍手の代わりに介護用手袋があったので汚れ防止に使用したら、
外した時に汗が貯まっていた。
お墓の雑草を抜いて、植木の剪定。
「そこも抜いてね」と指示すると目立つ雑草だけ抜くことは出来る。
父が作業した後には雑草が残っているので、こっそり抜いた。
お参りした後に近くの和食ファミレスで昼食。
食べている途中から眠そうだったのですぐに帰宅して寝かせた。
■ショートステイ25日(土)まで2004/9/22(水)
 深夜父は書き物をしたようで、床に紙が散乱していた。
「交通安全」とか「無我××」などの文字がどうにか判別出来た。
机に硯を3個出して、全部に墨汁が入っていた。
朱墨も出ていたので、妄想の中で子供達に教えていたような感じ。
朝食を食べさせている間に片付けた。
座椅子に座らせてヒゲソリと整髪と歯磨きをして準備。
夢の中にいるような表情なので、頭は寝ているのかも。
午前9時お迎えバスに乗り込んだ。
25日(土)までのショートステイ。
■ケアマネさん緊急事態2004/9/24(金)
 毎回お世話になっていたケアマネEさんの事務所から連絡が。
Eさんが緊急入院されて、業務が継続して出来なくなったとのこと。
別のケアマネさんを紹介するので、後日新しいケアマネさんより連絡するとのこと。
紹介してくれる方は男性のケアマネさんらしい。
Eさんお世話になりました。お大事になさってください。
■帰宅2004/9/25(土)
 午後4時帰宅。
お茶を飲ませて、いつものように何をしたかを訊くと、
「仕事に来る人の中にはうるさいのもいるんだよ」と言い出した。
「文句ばかり言う女の人がいてさ」と笑う。
今日も父はお仕事に行っていると思っている様子。
連絡メモには夜間徘徊時に職員さんがベッドに誘導すれば寝るという事や、
食事はほぼ全量食べていると書かれていた。

夕方5時から町内の体育祭準備で家を空けるので、
姉が仕事帰りに寄って父をみてくれた。感謝。
すぐに終わったので戻って夕食後ベッドに寝かせた。
夜8時食器の割れる音がした。
父が大きな皿を取り出そうとして割ってしまったようで。
足元の割れた皿を呆然として見ている。
怪我していないか確認してその場を離れさせた。
後片付けして「夕飯は食べたんだよ」と言い聞かせた。
■体育祭2004/9/26(日)
 朝起きて父の様子を確認しようとしたら、
タオルケットに血がついていたのであせった。
父に確認してみると「玄関でころんで肘をついた」と。
傷は1pにもならないくらいの擦り傷で、
骨折はしていないらしい。
体育委員なので朝6時30分から集会場で準備が始まった。
父は朝食後寝ていたのでそのままにしておいた。
姉が出勤前に様子を見に来てくれたので任せて会場に。
雨が降ってきたのを理由にして家に何度か戻った。
体育祭は中止にならず、そのまま昼まで続行した。
昼食に買ってきたお寿司を食べさせた。
パックなので透明なカバーがあるのだけど、
父はそのパックの上からお寿司を取ろうとする。
昼食後父は寝たり起きたりを繰り返していた。
■新ケアマネ決定2004/9/27(月)
 夜中父は庭にバスタオルと書道の道具を持って立っていたので、
室内に戻した。「手帳はどこにある?」と探しまわっていたり。
デイサービスを仕事と思い込んでいる父は夜からお迎えを待っていた。
「ちゃんと寝ないと昼間仕事もきちんと出来ないよ」と寝かせた。
朝父を確認しに行くと机に書道の道具が散乱して、
夜中に食べたものが床に落ちていた。
また靴を室内に持ち込んでいる。
施設で外履きの靴を室内に入れているからなのか?
起こして朝食後歯磨きとヒゲソリと整髪をする。
午前9時お迎えバスに嬉しそうに乗り込んだ。
父が出掛けてすぐに新しいケアマネさんから連絡が。
「契約をしたいので伺います」とのこと。
今度のケアマネNさんは家の近くに事務所があって、
優しそうな男性だった。
契約書を確認して署名捺印。
介護保険証を記載変更の為に渡した。
11月までの施設予約を確認する。
忙しいようで携帯電話に何度も連絡が入っていた。
また近いうちに訪問するとのこと。
■短期入所サービス支援2004/9/28(火)
 朝ケアマネNさんから連絡があった。
「10月の予約が利用限度額を超えてしまっているので、
どこか減らすかどうしますか?」と。
デイサービスをショートに変更すれば金額は減るのだけど。
空きがないこともあるので曜日を指定して確認してもらった。
希望の日は予約がいっぱいということで、
送迎を自分でやることにするとか、いろいろ考えた。
そこで、短期入所サービス支援の申請をすることに。
限度額を越えた場合に認定有効期間(1年間の場合)利用出来る日数は、
要介護3で42日間。
これは痴呆などで家族の介護が困難な場合や、
介護者が不在になる場合支援が受けられる。
ついでに10月23(土)のデイサービスを、ショートステイに変更追加してくれた。

庭の盆栽が枯れてきたので剪定をしていると父が背後で見ていた。
「枯れた葉っぱを切った方がいいのかな?」と訊いてみると、
「二本出てるやつの片方は切るんだよ」とまともな返事。
今日は大丈夫かなと思って父に剪定を任せてみた。
切ろうとしている枝にハサミを入れようとすると、
手がブルブル震えて上手く使えない。
しばらくしたら「また後でやるよ」と室内に戻ってしまった。
思った以上にハサミが使えなかったことにガッカリしていた。
■妄想と現実2004/9/28(火)続き
 夜8時過ぎに父がおかしな行動をしていた。
道路まで出てぼーっとしているので声を掛けたら「トイレ」と。
家に戻してトイレに行かせた。
そこから父の妄想が始まった。
「このへんの広告に出すのでビデオの撮影があって、
写真も撮ったのでそれを確認しに行く」と言い出す。
以下父と私のやり取り:
私:「いつその撮影があったの?」
父:「一緒に行って確認してくれよ」
私:「どこの誰の所に何を確認しに行くの?」
父:「ビデオ持ってる人の所。名前が解からないんだよ」
私:「名前が解からない人の家に行って何を確認したいの?」
父:「俺はその時映っていなかったんだけどさ」
私:「お父さんが映っていないビデオや写真を見せてもらって何をしたいの?」
父:「後で見たら映ってたから確認したいんだ」
父はビデオや写真を今すぐ見て中身を確認したいと思い込んでいる。

このままでは徘徊するなと思って、今日一日何をしたかを思い出させた。
朝起きてから夕食を食べて食後に寝た所まで思い出させて説明させた。
父の記憶は時系列に並んでいない。
今日やった事も半分思い出せずに「草むしりしたよね」などと誘導すると思い出す。
どこにもビデオを見直したという事実が無いというのになんとなく気付いた様子。
それでも納得しないのか外まで出て道路を見渡していた。
「自転車に乗って行ったんだよ。なのに自転車が無いな」と言いながら、
家の中に戻った父は、
「よく考えたら田んぼの中にこの家と同じ家があって、
そこで撮影してたんだけど、田んぼの稲が小さくてさ」と言った後、顔色が変化した。
妄想から現実に戻ったらしい。
「前に頭が骸骨の幽霊が見えたり、おばあさんが教室でおしっこしてるのが見えたり、
普通の人が見えないものが見えたことがあったじゃない。
今日のもそれと同じなのかもね。夢が現実に見えちゃったんだよ」
と以前の妄想の話をしてみたら、
「そうだ。骸骨が見えたんだよな。不思議だよな。
じゃあ今日のも夢みたいなものだったんだな」とすっきりした感じ。
「じゃあ明日に備えてちゃんと寝ておこうね」と寝かせた。
妄想や夢が現実にあった記憶のように感じて行動してしまうけど、
脳の整理がつくと、ちゃんと以前の記憶を引き出すことが出来る。
今まともなのか、妄想の最中なのかを判断するのは難しい。
「そうだね」「そうなのか」と肯定ばかりしては混乱すると思う。
現実はこうなのだと思い出させる事も必要なのだと。
記憶は嘘をつく。
痴呆症の人もちゃんと記憶を引き出せる能力は残っている。
今夜また寝て起きたときに妄想が出ないように祈るしかない。
■指運動2004/9/29(水)
 今日は比較的正常。
昨日の妄想に付き合った私の方がぼーっとしていた。
デイサービスから戻ってからも普通に会話出来た。
施設で指回し体操というのをやっているらしいので、
どうやるのかを教えてもらう口実で父に実践させた。
右手は震えながらも動くのだけど、左手は動かない。
右脳の機能が低下しているのかな。
夕食後しばらくTVを眺めて熟睡しはじめたので、
ベッドに誘導して寝かせた。
■銀行?2004/9/30(木)
 午前中庭の掃除を理由に外に出した。
枯葉を集めて草むしりをしていたら何処かに行こうとする。
「銀行に皆のお金を預けてあるんで見に行く」と。
「ちゃんと入れてあるから心配ないよ」と適当に話をした。
「月謝が入っているはずなんだよ」と違う理由を思いついたらしい。
「今は教室閉鎖してるから、去年までは月謝入ったね」と言ってみた。
「そうだよな。入ってるならいいんだ」と納得した様子。
思いついた事が気になると確かめたくなるらしい。
夕方6時過ぎ。また父が銀行に預けてある何かが心配らしい。
話を訊くと30年前の職場の何かをまとめて預けてあると。
今年が平成16年だとカレンダーを見せて、
心配しているお金の話は30年も前の事だと説明する。
その度に「ちゃんと入ってればいいんだ」と納得したようで、
記憶に残らないのだろう。
お金と米(食事)と寝る場所の基本的な生活の基盤が気になると、
なかなか納得しなくなっている。




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