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育老日記・痴呆の症状と向き合う備忘録



■葬儀2004/5/1(土)
 昨日姉に「温泉行くのがお父さんの仕事だからね」と言われて、
「仕事だから行ってこなきゃ」とはりきっていた。
今朝は2時間前からバスを待つ。
近所の方の告別式の手伝いで午前11時に出かけた。
父の戻り時間前に一度家に戻り、部屋の照明を点けておく。
今日は比較的正常。戻りのバスから元気に降りて来た。
「連日の出勤お疲れ様です」と言ったら笑っていた。
「もう一度式場に行かなきゃいけないから、お父さんは留守番しててね。
伯父さん達に近況報告を書いておいて」と葉書用紙を机に置いた。
さっそく書き出したので「留守番していてね」と念をおして出掛ける。
午後6時30分に帰宅したら、ぼんやりと立っていた。
「なんだか背中が痛いんだよ」と言うのでストレッチさせる。
寝ながらTVを見るときに同じ方向で横になっているようなので、
反対方向を向かせて「このまま寝ちゃえば?」と寝かせた。
■御礼状2004/5/2(日)
 深夜12時過ぎに「着る服が無い」と言い出す。
ハンガーにある服を見せて、タンスの引出し見せて、
「売るほど服はあるから大丈夫」と寝かせた。
朝食後「書き物でもしたら?」と筆を持たせてみる。
判別出来ないような文字を書く。
「手が震えて書けなくなった」とあわてて言い出すので、
「最近書道してなかったから修行不足が出たんだね。
震えなくなるまで書いてみたら?」と紙を渡す。
夕方まで少しずつ文字を書いたらしく「震えなくなった」と喜んでいた。
お見舞いのお礼状を書いたらしいが、
「先日は一時安宿にして身体調子悪かたが案心して御さ廿て・・・」
暗号のような文章になっている。
夜7時に30年前の記憶に戻ったらしく、また自転車で出掛けようとする。
鍵がかかっているので動かせないと「警察に連絡する」と騒ぐ。
「警察が何をしてくれると言うの。何にもしてくれないよ。
お父さんの年齢で自転車乗ったら平行感覚なくて事故にあって、
そのまま入院することになってもいいなら乗れば」と今回は強く言った。
急にまともになったのか「心配させてすまない」と言い出す。
痴呆症の人にダメと言ってはいけないというのも解かっていたけど、
時には強く言うことも必要だと思った。
■ショートステイ2004/5/3(日)
 連休の3日〜6日まで父はショートステイ。
前回と同じく「泊り」という事を父には伝えなかった。
いつもと違う大きめなバックを持たせるので、
「持って行ってもらいたい物があるから、こっちのバックに入れたから」と渡す。
2時間前からバスを待って庭をうろつく。室内に入れるとすぐ外に出る。
午前9時、お迎えの職員の方に「また泊りを教えていません」と伝える。
■帰宅2004/5/6(木)
 午後4時30分に帰宅後、感想を聞いてみた。
「館林の書道の先生が来てたんだよ。久しぶりに会ったなぁ」と。
妄想の内容なのだけど、嬉しそうに話すのでしばらく付き合う。
「お泊りはどうだった?部屋はどんな感じだったの?」と質問してみると、
「真っ白で綺麗な部屋だったよ。4人部屋で、毎日肉が出たんだ。
お風呂が気持ち良かったなぁ」と思い出しながら嬉しそう。
家にいてもどこかに泊っている感覚らしいので、施設の泊りも抵抗がないらしい。
4日間で初日と最終日の2回お風呂に入ったと連絡メモに書かれていた。
夕食後日記を書かせる。誤字脱字と斜めに重なった状態で書いていた。
■行方不明?2004/5/7(金)
 朝食後目を離した隙にいなくなったので、靴を確認。
外に出たらしいので近所を探してみる。
そんなに遠くまで行っていないだろうと車で探しに行こうとしたら、
家の前をとぼとぼ歩きながら帰ってきた。
「どこ行って来たの?」と聞いてみると「その辺を見て来た」と。
「出掛ける時は声掛けてから行ってよね。
また行方不明になったかと思ったよ」と言ったら笑っていた。
午前中「保険に入るんで書いたんだ」と封筒を持って来る。
お弁当屋さんの箸袋に書かれている内容を写し書きしていて、
「おてもと○○亭保(保険の事か?)申し込み書たのむ」と書いてあった。
「これお弁当屋さんだから保険なんて扱ってないよ」と言うと、
「旅行の保険に入るんだよ」って。
いろんな妄想を見ているんだろうな。
■探せない2004/5/8(土)
 朝食後テーブルに電気シェーバーを置いた。
「ヒゲソリしておいた方がいいよ」と言ってみると、
目の前にあるのに解からない様子。
ペットボトルを持ってみたり、お箸を持ってみたり。
「これでヒゲソリ出来るよ」と渡すとスイッチを入れて剃り出す。
物を判別する機能が低下してきている。
また2時間前からデイサービスのお迎えバスを待つ。
夕方4時30分に帰宅。連絡ノートに歌を楽しんだと書いてあったので、
どんな歌だったかを質問してみた。
しばらく考えて「文字が隷書でさ」と話し出す。
隷書なんて言葉が出てきたので驚いた。
「どんな歌を歌って来たの?」と繰り返して質問してみた。
また考え込んで「同い年の人が顔にできものがブツブツしてて」と
見当違いの話をする。脳の回路が歌った内容を思い出せないと、
違う話題にすりかえようとしているのだろうか?
■雨で安心2004/5/9(日)
 雨の日はでかけようとしないので安心出来る。
昼食の用意していたら、ラーメンどんぶりにご飯を山盛りにしていた。
「これ誰が食べるの?凄い量だね」と聞いてみると、
「お前の分。食べるんだろう?」って。
こういう所は優しい父なのだけど。
流石にそんなに食べないので炊飯器に戻した。
夜7時過ぎ、スニーカーを持って家の中をうろつく。
「靴持ってきて何するの?」と聞くと、
「書き物するんだよ」と言い出す。
行動がおかしいのはいつもの事だと納得するしかない。
■雨の中バスを待つ2004/5/10(月)
 朝、気持ちよさそうに寝ていた。
早朝から動いていた形跡があったので寝かせたままにしておく。
起きて朝食後ヒゲソリをさせる。
お迎えバスを雨の中で待っているので、玄関に入れた。
午前9時前にお迎えバスに嬉しそうに乗り込む。
午後4時30分帰宅。何をしたかを聞く。
TVの相撲を見せていたら画面を見ていられないようで、
横を向いて別の方向をじっと見ている。
その後夕食。お箸がまだ使える様子。
■暑いのに2004/5/11(火)
 朝霧が出て肌寒い感じだったのが天気が良くなって暑くなった。
半袖で洗濯をしていたら父が冬用のジャンパーを着て出てくる。
外気温が高いということに気付かない様子。
「お父さん暑くないの?」と脱がせた。
室内の温度が上がっていないので寒いと思ったようで。
気付くと日当たりのいい場所でぼーっとしているので、
今度は頭が熱くなっている事に気付かない。
帽子をかぶせて座らせておく。
どくだみが伸びていたので草むしりを手伝ってもらう。
午後久しぶりに「家に帰る」と言い出す。
自分がいる場所がどこなのかが解からない状態というのは、
本人にとって不安なんだろうなと思う。
「庭のトマトの苗が大きくなってきたんで、剪定しないとね」と、
庭に連れ出してトマトの剪定をやってもらう。
まともな剪定は無理だけど、指示すれば芽を摘み取ることが出来た。
家に帰るということは忘れてしまった様子。
また夜中に出かけなきゃいいんだけど。
と心配していた夜、やっぱり家だと思っていなかったのが判明。
「ここの回数券持ってるよ」と温泉にでも来ていると思ってる様子。
「ここが家なんだけど。仏壇に誰の写真があると思う?」と言ってみた。
仏壇をじっとみて驚いた表情をする。
「家だなぁ。不思議だなぁ」と半分納得した感じで就寝。
夜11時にヒゲソリをしている。デイサービスのバッグも出している。
朝だと思い込んでいるので時間の確認させた。
■ぼーっとする2004/5/12(水)
 朝6時20分に父の様子を見に行ったら、庭に出てバスを待っている。
「9時にならないと来ないから準備しておいてね」と室内に入れる。
気付くと外に出てぼーっとしている。
室内に戻って何かを言おうとしているが言葉が出てこない。
しばらくぼーっと立ちすくんで、周りを見渡す。
四角い箱を見て「俺のアルバムだ」と言い出す。
過去を確認したいのだろうか。
庭に出てみたり、部屋をうろついたりを繰り返す。
午前9時前にお迎えバスが来た。無言で乗り込む。
午後4時帰宅。普段なら家の方向が解かるのに、
今日は隣の家に向かって行こうとする。
バスの前に出そうな勢いだったので、服をひっぱって止めた。
特別養護老人ホームの資料を頼んでおいた。
職員の方が手渡ししてくれた。
デイサービスの隣の棟に今月オープンしたばかりの施設。
施設に電話をして内容を確認。
入所待ちの人もいるが、介護度が3以上で入るという人が多いらしい。
痴呆症でも受け入れてくれるとのこと。
一人個室で10人単位の居住区が5つ。
以前調べたグループホームの料金より安い。
しかし、デイサービスと併用は出来ないので検討することに。
近いうちに入所させることになるだろうけど、
それが今なのか、まだ様子をみるべきなのかが難しい。
■家の中に靴2004/5/13(木)
 朝父を確認したら片付けをしている様子。
本人は片付けしてるつもりなんだろうけど、泥棒が入った後のよう。
下駄箱のスニーカーが一足なかったので、
「靴がないみたいだけど、どこにあるの?」と聞いてみた。
ぼーっとしながら靴を出す。また家の中に靴を持ち込んでいた。
「靴は下駄箱に入れようね」と言ってみると不満そう。
理由があって室内に持ち込んでいるようだけど、
それを説明することが出来ない。
昼を早めに食べたので夕方5時に夕食を出した。
その後TVを見ながら寝てしまった。
夜7時に起きてすぐご飯をよそっている。
「お腹すいたの?」と聞いてみると考えて「食べられそうだから」と。
寝て起きると朝という感覚らしい。
「まだ夜だし、5時に食べたばかりだからね」と説明した。
食べてみてお腹がいっぱいだったことに気付いたのか、
よそった茶碗の半分を残す。
■また行方不明2004/5/14(金)
 朝父がまだ寝ているのを確認した後、気付いたら庭に出ていた。
うろうろしているので声をかけた。半眼でおかしな感じ。
午前9時30分に教室で物を動かしていたのを確認。
ほんの少し目を離したら姿がない。
白のスニーカーが無くなってるので外に出た様子。
ベッドに迷子札が置いてあった。
なにかあっても連絡が取れない状態なのであせる。
服装を思い出してメモする。また前回のように散歩に出たのかも。
近所を歩いているか見に行く。
お昼まで戻らなかったら探しに行こうと待機。
10時30分に交差点の先をとぼとぼ歩く父を発見。
隠れながら歩く様子を観察する。
無事帰宅した父に「出掛けるときは言ってよね。
また行方不明になったと思ったよ」と無駄な事を言ってみる。
「そこらへんを歩いてきた」と笑いながら言う。
心配をかけているという自覚は本人にはない。
迷子札をすぐに首にかけた。
心配しないで放っておけばいいのかもしれないけど、
そういう訳にもいかない。頭痛がしてきた。
朝食をあまり食べていなかったので、早めのお昼を食べさせる。
そうめんをゆでたら「暑い日はこういうのもいいな」と喜んでた。
その後、庭にデイ用のバッグを持って座り込んでいる。
「今日は温泉のお迎え来ないよ」と室内に入れる。
金曜日におかしくなるのが恐怖に感じる。
数分後「今日はお迎えこないんか?」とまた聞く。
どんどん頭痛がひどくなってきた。
姉に連絡しておいたら、心配してかけつけてくれた。
ケアマネEさんに特養の申し込みを頼む連絡を取った。
まずは明日のデイサービスで申し込み書をもらうことに。
■今日も行方不明2004/5/15(土)
 真夜中自転車を動かす音がしていた。
鍵がかかっているので乗れないのだけど。
あきらめたのか室内に入ったので様子を見に行くと、
テーブルに書きおきがあった。
「自転車で引越したのみにいく」と書いてあった。
昨日特養に入れるのを「家の改築している間にしばらく引っ越すかも」と
そんな理由で話したのを今すぐ引っ越すと思い込んだようで。
将来の話をしても理解できるわけがなかった。
早朝、また行方不明になる。
隣の旦那さんが見かけて、奥さんが連絡してくれた。
探しに行こうとしたら戻ってきた。本人は「散歩してきた」と。
黙って出かけないようにという記憶が欠落している。
デイサービスのお迎えバスを待つ間、靴のまま室内を歩く。
「靴は脱いであがってね」と言っても理解できていない。
お迎えの職員の方に特養の申し込み書をお願いする。
父が出掛けた後、お隣に連絡していただいたお礼と、
特養の申し込みをすることなどを話した。
午後5時近くに父が帰宅。職員の方から申し込み書をいただく。
健康診断書があったので来週病院に連れて行くことに。
■ストレス?2004/5/16(日)
 朝父が「今日は誰を迎えに行くんだっけ?」と言い出す。
「何も予定していないから、片付けしようね」と部屋に戻す。
雨なので外出しない分安心していられる。
私の髪がごっそり抜けるようになった。
貧血と脱力感があって、ストレスを感じる。
午後姉が様子を見に来てくれたので特養の申し込み書を見せた。
その後買い物に父を連れて行く。
■健康診断2004/5/17(月)
 朝父を確認すると、掛け布団が床に投げてあった。
夜中動き回った跡があちこちに。疲れて寝てしまった様子。
朝食を取らせてヒゲソリさせる。
午前9時にお迎えバスが来る。靴がなかなか履けないようなので、
「あわてなくていいよ」と時間かかっても自分で履かせた。
夕方4時帰宅。今日何をしたかを聞いても思い出せない。
お茶を飲ませて一息ついた後、健康診断に連れて行く。
尿検査のトイレもついて行って指示しないと便器の蓋が開けられない。
水を流せないし手も洗えない。コップを棚に置くことは出来た。
視力検査で左右を言う事ができない。
係の方が工夫してくれて検査することが出来た。
聴力検査は聞こえたらボタンを押す検査。異常はない様子。
ボタンを押したら押しっぱなしになる。
レントゲン撮影では服を脱げないので介助する。
待合室で「あそこに大きなネズミがいるんだよ」と言い出す。
目が半眼になっているので妄想を見ているらしい。
診察室に「家族の方どうぞ」と呼ばれて、
今までの経過を説明するのに意外と覚えていないことに気付く。
普段から、いつ発症して何をやらかしたかを説明出来るようにしないと。
父には問診をして症状の確認をしていた。
その後健康診断書を出してもらって帰宅。
■海に連れて行く2004/5/18(火)
 姉が父と私をドライブに連れて行ってくれた。
海を見て那珂湊の市場で回転寿司を食べた。
大洗の海はどんよりとしていて気分もすぐれない。
父は「あそこに人がいる」と妄想を見たり、
行きたいと思った方向にどんどん歩いて行く。
相変わらず行動がおかしい。
家に戻って伸びた髭を剃った。
姉が「昨日の健康診断は私の状態をみたようなもの」と言っていた。
父に対応している私の状態がひどくなっていると。
反省すべき所はいっぱいあるなぁと思う。
育児をしたことが無いというのが介護する場合経験不足だと。
私も初老性痴呆症になるような気がして不安になる。
仕事でバリバリ働いている姉を羨ましいと思ってしまう自分がいる。
なにもかも投げ出したい気分。
■特別養護老人ホーム見学2004/5/19(水)
 朝父が起きているのを確認。ほっとする。
その後父が時間の感覚が変な発言をしてうろつく。
デイのバスを2時間前から庭に出て待っている。
お隣の奥さんが父に話し掛けてくれたりした。
お迎えバスに嬉しそうに乗り込む。
午後1時、特別養護老人ホームを見学した。
面会の受付ノートには名前が沢山記入されていた。
2階20室のまだ誰も入居していない部分を見せていただく。
個室が10室集まって中央に広いスペースがあって、
そこで別室の人と交流したり、食事を取ったりするらしい。
面会は自由で、大きなソファーとTVが置いてあった。
食べ物の個室持込は偏食防止の為にさせていないと。
トイレと浴室も見学。見守りが常時あるので安心とのこと。
個室は6畳より大きめ。介護ベッドとポータブルトイレと、
小さな洗面が付いている。
現在入居されている方でポータブルトイレを使用している人はいないらしい。
個室のすぐそばにトイレがあるので職員が連れていったり、
自分で動ける人には見守りをしているのだとか。
普段使用している家具や電化製品を持ち込んで、
自室と変わらない生活の延長をすることが出来ると。
不安だったデイサービスのような昼間のお楽しみは、
特養独自でお楽しみをさせているとのこと。
症状が進まなくなった人とか改善された人もいるとか。
明日ケアマネEさんに相談する予定。
夕方「昨日海の近くで寿司を食べた」と父が話し出す。
「変わったものが食べられたんだよ。お前は行ったことあるか?」と。
一緒に行ったという認識がないらしい。
■ケアマネEさん訪問2004/5/20(木)
 午前10時ケアマネEさんが来てくれた。
昨日見学した特養施設の様子を説明して申し込み書を書いて渡す。
父はデイサービスの事を嬉しそうに話していた。
その後自分が描いた水墨画の巻物を「これが一番いい」と見せていた。
以前誰かが自分の名前を使って描いたと思い込んでいた物。
今日は自分の作品だと認識している様子。
夕方ケアマネEさんから連絡がある。
今までショート年間利用の日数限度があると思っていたのだけど、
年間42日というのは、月利用限度額を超えた場合に申請して利用できる日数。
限度額内なら、デイサービスよりショートを利用するほうが、
多い日数使えるということ。
さっそく、次月のショートを倍の日数に変更してもらうことに。
施設の空き状態を調べていただいたら空いていた。
一週間連続お泊りが決定したので、私もリフレッシュ出来るかな。
夕食後父が下着のまま雨の庭に出てしまった。
「ズボン履かないと風邪ひいちゃうよ」と室内に戻す。
雨だからと安心はしていられない。
■暗号?2004/5/21(金)
 父の机の上に「020 117 117」という数字が書いてあった。
「これは何の番号なの?」と聞いてみると、
「その番号に電話すると、保障されるんだよ」と。
数日前にも紙にこの数字を書く事があった。
数分後「これは俺の番号なんだ」と例の紙を見せてくれた。
「死んだときに解かるようになっている番号なんだよ」って、
相変わらず訳がわからない。
台風一過で天気が良くなったので庭で日光浴させる。
すぐ飽きて部屋に入って巻物を解いたり巻いたり。
昼食後「1時から3時は寝たほうがいいんだと」と横になる。
夕方謎の数字の意味が解かった。
某保険会社のCMの「いいないいなア×コ」のフリーダイヤルだと。
CMの影響力ってすごいと思った。
■小雨の中2004/5/22(土)
 デイサービスの準備をしていたら小雨の中外をうろつく。
2時間前から待つのがあたりまえになっている。
朝食後ヒゲソリをさせたら顔の右側だけ剃って「出来た」と。
「左側も剃った方がいいよ」と剃らせる。
お迎えバスを待つ間にお隣の奥さんが通りかかって、
「先生おはようございます。ちょっと寒いですね」と父に声をかけてくれた。
父は言葉を出さずに笑顔でうなずいていた。
午前9時お迎えバスに自分でバッグを持って乗り込む。
午後4時帰宅。たまたま職員の女性と同じ色のジャケットだったので、
「お揃いでいいねぇ」と言ったら喜んでいた。
「今日は何してきたの?」といつものように聞いてみた。
筆ペンを持って行ったらしく、昼間書き物をしたらしい。
いつのまにバッグに筆を入れたのか気付かなかった。
持たせる前に確認した時には入っていなかったのに。
筆以外の危険物を持ち込んでいたらと思うとぞっとした。
ちゃんとチェックしないと。
その後、巻物の内容を別紙に書かせてみた。
目を離したら机の上に洗剤が置いてあったので、
「これ何に使うの?」と聞いてみたら「のりだよ」と。
「洗剤だから紙はくっつかないなぁ。巻物が泡たっちゃうよ」と言ってみると、
「のりじゃないんか。」と笑い出す。
引き出しや冷蔵庫を開けて、のりを探しはじめる。
時間も遅かったので「明日の昼間にやろう」と寝かせた。
■行方不明の散歩2004/5/23(日)
 朝起きて父がまたいない。探しに行こうとしたら戻って来た。
「散歩してくると紙に書いていこうかと思って」と。
紙に「走あるき約一時間」と書き出したので、
「お散歩するなら一緒に行こうよ」と言って準備していたら、
さっさと出かけてしまった。
念の為に姉に連絡して今日の服装を伝える。
先日のように戻ってくるかもしれないので家で待機。
30分後交差点まで様子を見に行ったら歩いているのを発見。
家に戻る方向なのでそのまま歩かせておいた。
帰宅したので「どこまで行って来たの?」と聞くと、
「公園まで行って一周歩いてきたよ」と。
午前中姉が様子を見に来てくれた。
買い物に連れ出して蕎麦屋で昼食。
食べたら眠くなったらしいので横になっていた。
夜10時頃「昨日買って来た紙がない」と言い出す。
今日買って来た付箋紙をどこかに入れてしまったらしく、
一度寝て起きたら朝という感覚。
探してみたけどみつからないので寝かせる。
また一時間後に「おはよう」と起きてきて「紙がない」と言い出す。
■付箋紙発見2004/5/24(月)
 朝父を確認したらまだ寝ていた。
机の上に付箋紙があったので夜中探したらしい。
デイサービスの準備をしてヒゲソリをさせた。
バスを待つ間庭の木や花を見て「綺麗に咲いたな」と喜ぶ。
午前9時にバスに乗り込む。
午後4時帰宅。「5月の誕生会をした」と嬉しそう。
巻物に付箋紙を付けようとして、水に濡らしていった。
貼って剥がせるという糊部分の粘着力が足りないと思ったのかな。
ケアマネEさんからショートステイを増やしてもらった分の回答が。
ほぼ希望の日程を予約することが出来た。
■巻物を分別する2004/5/25(火)
 いつもの事だけど朝からお昼だと思っている。
時間の確認させて朝食を取らせる。
午前中天気がいいので庭で日向ぼっこをさせた。
蟻の行列をじっと見て「大きいのや小さいのがいるなぁ」と。
その後室内で巻物をゴミ袋に入れていたので、
「捨てちゃっていいのかな?」と聞いてみると、
「とっておくやつ」と袋ごと箱に入れようとする。
「ゴミが一緒に入ってるから、巻物は別の箱に入れようね」と
ゴミを出して表装してあるものと簡単に貼り付けたものを分ける。
午後になって「トイレはどこにあるんだ?」とうろつく。
場所を教えると行くことが出来た。
夕方6時過ぎに朝だと思ったのか、デイサービス用のバッグを持ち出す。
「夕方の6時だよ。お迎えは明日の朝だからね」と室内に入れる。
TV見てうたた寝した後、目が覚めると朝の感覚になるようで。
夜「朝ご飯は食べたんか?」とまた言い出す。
■部屋に靴2004/5/26(水)
 朝起きて父を確認しようとしたら庭に出ていた。
室内に戻そうとして下駄箱を見たら靴が一足無い。
見当たらないので父に聞いてみたら「知らない」と。
しばらく探してみたらTVの脇に置いてあったので下駄箱に戻した。
午前9時にお迎えバスに乗る。
職員の方が「お財布を持ってるようです」と教えてくれたので、
「財布の持ち込みは禁止なんだよ」と預かる。
父が出掛けたので葉書を出しに近くのポストまで行った。
帰りに隣の和菓子屋さんと挨拶したついでに和菓子を買う。
「このまえ先生が散歩してたんでお茶でもどう?って、
お茶出したらね、イスにじっとしていられないみたいね。
同じようになった町内の人見てるから、大変だなと思ったわよ。
頑張りすぎて無理しないように」と話してくれた。
気にかけてくれて有り難いと思った。
午後4時帰宅した父に何をして来たかを聞く。
プリントを一枚出してきた。ことわざの空欄を埋めるという内容。
意外にも難しい言葉が書けていた。
「(うごう)の衆」とか、「(くも)の子を散らす」など。
書けていない問題を解かせてみた。
「(□□に真珠)ここに入る動物は何?」と考えさせた。
「かば?・・・きりん?・・・猫かな?」という答えに爆笑した。
答えの「豚」という字を教えたら「朋」になってしまった。
今日は喋ると涎が垂れてしまう。症状が進行していると感じる。
■水墨画2004/5/27(木)
 午前中やることがみつからない様子なので、
水墨画を描かせることにした。
巻物から山水画を選ばせる。
机に巻物を置いてその上から描こうとしているので、
「手本にするなら下げた方がいいかも」と壁に吊るした。
半紙に山を描いたり、文字を書いたり。
何を描いてるのかは解からない。
2〜3枚描いたら飽きたようで道具をしまいはじめた。
午後、暇そうにしていたので散歩に連れ出す。
父が自分で行きたいと思うように歩かせてみた。
電柱にぶつかりそうになりながら、ふらふら歩いていた。
近くの公園を3周歩いて鉄棒をやったりブランコに乗ったり。
昔の話をしたり植物の話をしたり。
帰りにいつも寄る店で珈琲を飲んだ。
「何か欲しいものがあったら買いにいこう」と、
父に必要なものを考えさせた。
その後スーパーで買い物をして帰宅。
午後5時、目が半眼になって「あっちにいってくるよ」と言い出す。
「演習に参加するんだ」と妄想を見ているらしい。
今日何をしたかを朝から説明して、出かけないと説明する。
ベッドに寝かせたらすぐに熟睡しはじめた。
午後8時に目が覚めたらしくガタガタ何かをしていた。
服を出して山のように積み上げていた。
「これどうするの?」と聞いてみると、
「免許の更新に着て行くんだ」と言い出す。
思考回路がどう繋がると免許と服の山積みになるのか。
「更新は来年だったでしょ。今日は更新できないよ」と寝かせた。
■夜中に騒音2004/5/28(金)
 深夜0時過ぎ、ドカーンという凄い物音がした。
父の部屋に飛んで行ったら真っ暗で父がいない。
教室の電気をつけてみたら、父が頭を押さえてうずくまっていた。
「ガラスに頭ぶつけた」と笑っている。
怪我してないか確認。ガラスも割れていなかった。
父は電気をつけずにうろついて倒れたらしい。
センサー付きの灯りが点灯しているので、
それで電気をつけたつもりになったようで。
部屋に戻して寝かせた。
朝、追加でデイサービスを利用するはずがお迎えが来ない。
父は不安なのか「まだ来ないんか?」と騒ぎだす。
2度連絡を入れて10時にやっと来てくれた。
「こちらの手違いで遅れてすみません」と職員の方が謝ってくれた。
午後4時帰宅。リズム体操というのをやったというので、
「どんな体操なのかやってみせて」と体操をやらせてみた。
夜11時30分に炊飯器からどんぶりにご飯を山盛りにしていた。
時間確認させて寝かせた。
■庭掃除2004/5/29(土)
 朝起きて父を確認したら、すでに庭に出ていた。
昨日迎えが遅かったのが不安なのか、うろうろしている。
「迎え来るから大丈夫だよ。準備しておいて」と室内に入れた。
その後室内でTVを見たり、庭をうろついたりと忙しい。
落ち着かない様子なので庭を掃かせてみた。
午前9時前お迎えバスが来たら嬉しそうに乗り込んだ。
午後4時帰宅。今日は文章を作るということをやったと。
見せてもらった紙には父にだけ解かるらしい文章が。
夕方姉が仕事帰りに様子を見に来てくれた。
■うちに行く2004/5/30(日)
 昨日姉がお昼に「お蕎麦食べに行こう」と話していたのを覚えていて、
午前9時に「飯食べてくる」と外に行こうとした。
「お姉ちゃんがお昼に来るっていってたから出掛けないでね」と
何度言っても納得しない。
その後「じゃあ、あっちのうちに行くから」と父は出掛けようとする。
お昼に姉が来てくれた。頭痛がするので父を預けた。
父が出掛けている間に明日からのショートステイの準備をしておく。
夕方帰宅。郊外の沼に行って散歩してきたらしい。
■徘徊2004/5/31(月)
 深夜1時45分、姉の電話で飛び起きた。
父が6キロ先の24時間営業スーパーで保護されていると。
姉が迎えに行って引き取って来てくれた。
机には「6月のダンスを見に行く」と書かれた書置きがあった。
財布も持って行っていない様子。
帰宅した父に熱い烏龍茶を飲ませて眠剤も飲ませた。
父に聞いてみたら「行くだけで疲れて、帰りが大変なんで、
24時間営業のスーパーに寄って連絡してもらった」と。
着ていた服を全部取り替えて寝かせた。
朝、ズボンの上にパンツを履いて外に出ていた。
室内に戻して脱がせた。
何度もタンスからパンツを取り出してズボンの上に履く。
その度に脱がせた。かなりおかしい。
靴下を履かせようとしたら、足指の間にティッシュをはさみ始めた。
ショートの用意をして、何度も出かけようとするのを説得する。
午前9時お迎えの職員に深夜徘徊を伝える。
来週の月曜までショートステイだけど、
本人には泊りということを話していないと伝える。




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