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育老日記・痴呆の症状と向き合う備忘録



■漫画2004/3/1(月)
 普段漫画を読まない父に雑誌タイプの「ルパン三世」を読ませてみた。
フキダシのないコマに「ここは文字がないぞ」というので、「場面を想像するんだよ」と言ってみた。
しばらく様子を見たら、セリフを声に出して読んでいる。
漫画は予想した通り、あっというまに飽きて放り投げた。
昼頃、姉に電話して車の話をまたしていたらしい。
午後「教室にどこかのおばぁさんがいて、机の後ろに隠れている」と言い出す。
「どこにいるのかな?」と一緒に探してみると、「今はいないみたい」と。
夕方まで妄想は続いて、「家に帰る」と書道の道具をまとめたりしていた。
仕事帰りの姉が寄ってくれて落ち着く。
■いらない服2004/3/2(火)
 午前中父の服を整理することに。汚れが目立つ古い服をゴミ袋に入れた。
「いらない服をこの袋に入れてね」と渡したら、洗濯カゴの中身を全部入れてしまった。
汚れたからいらないって思ったのかな。
午後、納屋の掃除と家の東側にぼさぼさに生えてる木を切ったり草むしりしたり。
父は10分くらいで飽きて部屋に戻ってしまった。
そのうち「家に帰るから、駅はどっちかな」とカバンを下げて立っている。
車も自転車も乗れないなら電車で帰るという発想につながったようで。
その後買い物に連れ出す。
「眠くなってきた」というので、「家に帰ろうか?」と聞いてみると、「大丈夫」というので、
買い物用カートを押してもらった。
「夜になると、血だらけのおじいさんとおばあさんがいるんだよ」と言い出す。
「お父さんにだけ見えちゃうのかな。私には見えないから、幽霊が見えるようになったのかも」
「クチからダラダラ血を流しているんで気持ち悪いんだ。今度見えたら教えるよ」と困った様子。
車で家に着いたとたん、「今日知らない女の人が来て、木を切ったり池に土入れてくれたんだ」と。
その後、「すぐに家に帰ろうとしたんだけど、買い物行ったりしてたから帰れなかった」と言い出す。
■離れてみる2004/3/3(水)
 朝、背広を着てバッグを持った父は「家に帰る」と言っていた。
中に衿付のトレーナーを着ている。他人が見たら奇妙な服装も本人は大真面目。
どこかに出かけたらそれもしかたないと割り切って、1時間くらい放っておく。
父の様子を見に行ったら教室で横になって居眠りをしていた。
お風呂に入れたときに、下着を回収したら、パンツがなかった。
長袖のシャツもいつのまにか夏用のタンクトップに着替えたらしい。
その後自転車をガタガタさせてたので、庭の掃除と土いじりを手伝ってもらう。
午前10時に用事が出来たので「留守番お願いね」と車で出かける。
すぐに戻らずにあえて離れてみるのもいいかと、しばらく自分の用事を済ませた。
家に戻ると、父は「腰痛くなったんで休んでた」と出てきた。
自転車を別の場所に移動したようだけど出かけることはしなかったようで。
庭の片隅に植える花を何個か購入してきたので植えはじめてみたら、
父は寒いのを理由に部屋に入ってしまった。
植え終わったのを知らせると「綺麗だな。いい色だ」と喜んでいた。
ケアマネのEさんから連絡があり、6日(土)からデイサービスを利用出来るのが決まったと。
施設の送迎時間など詳しいことは直接連絡があるとのこと。
来週9日(火)の午前に家に訪問してデイサービスの感想を聞いたり、様子を見に来る予定。
■病院2004/3/4(木)
 朝5時半頃、姉に電話したらしい発信記録が。
あちこちの部屋の電気が付いていたので、早い時間から起きて動いていたみたいで。
午前8時自転車をまたガタガタしていたので「今日は午後病院に行くから準備しておいて」と言ってみると、
10分毎に「まだ行かないんか?」と確認しに来る。
予定を午前中に変更。病院に連れて行って、6日からデイサービスを利用出来る事と、
今月末に施設のショートステイを予定している事を主治医の先生に報告。
痴呆症で徘徊の症状がある場合、入眠剤を使用して寝かせることが出来るなら、
薬を用意して欲しいという施設からの要請があったので相談してみることに。
入眠剤を出してくれた。必要な時だけ使用することに。
先生が父に「自転車は乗らないように」と言ってくれたので、
家に戻ってから自転車に触らなくなった。
5分くらい離れて、父の部屋にいくと、「こんにちは」と挨拶される。
「私が誰だか解かるかな?名前はなんでしょう?」と聞いてみると、
しばらく悩んでやっと思い出したようで。
「病院に行って来たんだよ。」と一緒に行った私に報告する。
夜「この旅館は海岸に近いのか?」と何処かに泊ってると思っている。
「皆を呼んで来てくれないか。今後の事を決めないと」と書道の集まりをしてると思っている。
「夜中の10時過ぎだから、皆寝ちゃったんだ。明日起きたらね」と寝かせる。
その後入眠剤を飲ませてみたけど、夜中に起きてガタガタなにかをしていた。
■片付け2004/3/5(金)
 深夜から早朝、父は教室と納屋の片付けをしていたようで。
泥棒が入ったように物が散乱している。
朝様子を見に行ったら、教室の窓は全開。あちこちの部屋の電気を全部つけていた。
旦那の上着を着て、旦那の靴もかかとを踏んだ状態で履いて片方がどこかに。
トイレも汚している。今までちゃんと出来ていたのが奇跡だと思う事にしないと。
服の上に下着を着てもがいているので、手伝おうと思ったら、
ズボン下の前部分から頭を突っ込んで、抜けなくなってじたばたしている。
納屋の荷物を庭に運んできて、10分もしないうちに飽きて部屋に戻って寝転んでいる。
「昨日手を切って血だらけになっただろう?」と父がいうので、
「あかぎれしただけだよ」というと、「あんなに血が出てたじゃないか」と。
夢の記憶が現実だと思っている様子。
昼食後父の姿がどこにもない。靴を確認したら無かったので、外出しているようで。
1時間後、スーパーの袋を持って帰ってきた。
一人で近くのスーパーまで行って、珈琲と砂糖を購入してきたようで。
何も言わずに出かけるのはしかたないけど、一人で買い物が出来たことに感動。
「書き終わったら持って来なさい」と誰もいない場所に向かって話している。
教室の中に父だけに見える数人の生徒が書道をしているらしい。
明日の送迎時間の連絡が夕方ある。午前9時頃とのこと。予想より早い時間だった。
持って行くものを準備して隠しておいた。渡してしまうと今夜から外で待ち続けるだろうから。
■デイサービス初日2004/3/6(土)
 雪が降った寒い朝。
今日からデイサービスの利用開始。昼間約6時間は安心していられる。
タオル・下着・上着・ビニール袋を昨日用意してあったので、父のバッグに入れ替える。
「今日はお迎え来てくれるんだよ。よかったね」と言うと、
「それは楽だなぁ。」と嬉しそう。
午前9時15分、お迎えの車が来る。父は嬉しいのか涙ぐんでいた。
戻りは午後3時30分から順に送り届けるとのこと。
心配し続けた毎日が嘘のようにすっきりと晴れやかな気分になれた。
午後4時頃、父が帰宅する。「落ち着いて楽しんでいましたよ」と職員の方が教えてくれた。
着替えた下着やタオルと一緒に連絡帳が入っていた。
その日の血圧・脈拍・食事の状況・入浴の有無・職員の感想などが書かれていた。
こちらから連絡したい内容も記入できるようになっている。
「お風呂で前以外は全部男の職員が洗ってくれたんだよ。
すっきりして体が軽くなっちゃった」と喜んでいた。
■妄想・徘徊は相変わらず2004/3/7(日)
 早朝父に起こされる。「南画(水墨画)の資料が無いんだよ」と。
妄想の中で南画を今日教える事になってるらしい。
あちこちの電気がついていて、探し物をした後が。
デイサービスを利用したからといって妄想が無くなるわけではなさそう。
午前8時、町内の班が担当する集会場のお掃除で父の症状をご近所の皆さんに話した。
町会長さんも来ていたので、父が今まで担当していた総務部長の任を解いてもらうことに。
「4月からの新年度の役員会議に出席してもらおうかと思ってたけど無理そうだね。
お大事にしてやって」と町会長さんも心配してくれた。
昼頃、医療施設公開に父と参加する。普段見ることの出来ない機械や医療施設を見て、
「凄いなぁ」と感想を言っていた。途中で眠そうだったので連れ帰って寝かせる。
姉が休日出勤で疲れているのに仕事帰りに様子を見に来てくれた。
夕方6時、夕食を済ませた父は「家に帰るから」と言い出す。
「ちょっと外に出て」と連れ出して、道路まで出てから振り向かせて「おかえり」と言ってみた。
父は「ああ。家だ」と不思議そうな顔をして戻った。
  その後気付いたら父がいなくなっている。靴も無くなっていた。
さっきの家に帰るというのがあったので、また何処かに行ってしまったようで。
姉にいなくなった事を連絡する。夜間なので探しようがないから待ってみることに。
8時15分玄関で物音がする。父が戻って来た。
「おかえり。寒かったでしょう」と家の中に入れる。
「家に帰ろうとして歩いたんだけど寒くてさ。タクシー乗ろうとしたんだけどないんだよ。
宇都宮をぐるっと廻ってきちゃったんだ」と大げさなことを言う。
「今家に帰って来たというのは解かる?」と聞いてみると、
「ここは家だなぁ。」と納得したらしい。眠そうなのでベッドに寝かせる。
姉に無事戻ったと報告する。
「朝まで帰らなかったら警察に捜索願を出す」くらいの覚悟でいないと。
■困ってるなら助ける2004/3/8(月)
 昨日徘徊して疲れたのか朝までぐっすり眠っていた。
起こして朝食。デイサービスの準備。
電気シェーバーと「髭剃りお願いします」と紙に書いて入れた。
午前9時に迎えの車に元気に乗って行った。
午後4時に送ってもらい帰宅。さっそく今日の内容を聞いてみる。
お風呂で全身を洗ってもらって、歯磨きして、髭剃りをしたと。
午後のお楽しみの時間にカラオケをやって、どんな曲を歌ったかなど。
車椅子に乗せようとしてる所を手助けしようと思ったのに断られたとか。
夕食後ニュースでやってた交通違反の罰金を払わずに収監された話を見て、
「お前が困ってるなら助けるよ」と言い出す。
「私は罰金とられるような事してないから大丈夫だよ。」と言ってみたけど、
老人を狙った犯罪が増えているので、詐欺にあわないようにという話をした。
夜11時30分「朝ご飯食べなきゃいけないから出なおしてくる」と言い出す。
どこかに来ていると思っているらしい。時間を確認させて寝かせる。
■シャンプーで整髪2004/3/9(火)
 朝食後、お風呂に入れて歯磨きさせる。
午前10時にケアマネEさんの訪問。
痴呆型グループホームも検討していることを伝える。
父はいろいろ話をして気分がよさそうだった。
その後、父が頭に何かをつけてブラッシングしてるのを見かけたので、
「何を髪につけてるの?」と容器を見たらシャンプーだった。
中身が3分の1くらいに減っている。
「これ、シャンプーじゃない。今までこれをつけてたの?」
「パーマ屋さんの知り合いが髪に栄養つけるようにってくれたんだよ」と。
2〜3年くらい髪を整える時につけていたと。しかも大切なものだからと戸棚に入れてたようで。
容器は没収。すぐにお風呂に連れて行ってシャワーで流す。
そういえば最近フケが気になると思っていたら、シャンプーを栄養剤と思ってつけてたようで。
フケの原因はこれだったのかと納得。
午後庭の掃除を一緒にやる。「腰が痛くなった」と言って休んでしまう。
同じことを続けてやるということが出来なくなっているようで。
そのあとベッドに潜り込んで寝ていたので、様子をみて散歩に連れ出す。
近くのスーパーで買い物をして珈琲ショップで一休みしてきた。
夜「レコード(村田英雄のCD)の中身を家に忘れたと」言い出す。
また自宅じゃないと思っているらしい。
8時頃どうにか眠ってくれた。
■父の誕生日2004/3/10(水)
 朝6時に父を確認しに行ったら、部屋の電気や暖房がついているのにいない。
デイサービスに持って行くカバンもない。慌てて外に出てみたら父がうろうろしている。
「お迎えバスは9時に来るよ。まだ3時間もあるから中で待っててね。」と家に戻した。
どこかに行くとか約束をすると時間関係なしに行動してしまう。これが日常になっている。
「今日75歳のお誕生日だね。おめでとう」と言うと嬉しそう。
バスが9時に来て、お迎え担当の方に「今日誕生日なんですよ」と父は自分で言っていた。
「お誕生日ですか。おめでとうございます」と祝ってもらい更に嬉しそうだった。
午後4時帰宅後「今日はどんな事したの?」と内容をきいてみた。
職員の女性とカラオケにあわせてダンスをしたとか。
昔から社交ダンスが得意だった父は踊ることが楽しかったようで。
私が子供の頃に、教室の机を片付けてダンスパーティをした事を思い出す。
父と母が踊るタンゴはカッコ良かった。ワルツやルンバなどいろんなステップで踊ったり。
私もジルバで放り投げられるように回されるのが楽しかったという思い出話をした。
夕方6時に「ちょっと早いけど寝る」と父は寝てしまった。
その後1時間ごとにトイレに起きたり、TVをつけて見たりしていた。
夜11時30分「蕎麦食べに行こう」と誘ってくる。昼だと勘違いしている様子。
■葬式に行くと言う2004/3/11(木)
 午前中は庭の掃除をした。
お昼に長寿庵に連れて行く。
昨日の夜中から「かき揚げ蕎麦を食べに行こう」と出かけたかったようで。
「ここの蕎麦は美味いな」と喜んでいた。
その後天気も良かったので市貝の梅の里を見に行く。
まだまだ蕾だらけで、三分咲きという感じ。車の中で父はずっと寝ていた。
近所の温泉に連れて行く。父はお風呂の後カラオケを2曲歌ったので満足そう。
夕方6時30分に就寝。
夜9時30分「葬式に行ってくる」と出かけようとしていた。
「誰のお葬式なの?いつ亡くなったの?」ときいてみると、
「兄貴が世話してた人で亡くなったのは1ヶ月前かな。」って。
「それじゃお葬式は終わっちゃってるね」と言ってみた。
少し考え込んで「俺は葬式に出なくてもいいんだ。兄貴が出るだろうし。
じゃあ、家に帰るから」と外に出ようとする。
TVで美味しそうなパンを作ってる番組があったので、
「うわー、バナナが美味しそうだね」と話をそらしたら、
「お腹空いてるんか?」とさっきの話は忘れてしまった様子。
そのうちTV見ながら寝てしまった。
■炊飯器2004/3/12(金)
 午前中お風呂は疲れるからと入らずにベッドでごろごろしていた。
午後庭の掃除をしたり寝転んだりしていたけど、珍しく妄想が出なかった。
父の薬を袋に入れる作業を手伝ってもらう。
2週間分の朝前・朝後・昼前・夜前・夜後・寝る前に分類。
指示すれば薬をパッケージから取り出すことが出来る。
1時間かけて分類したら「結構時間かかるもんなんだな」なんて言うので、
「大変なんだよ。感謝してね」と冗談ぽく言ってみたら、
「感謝してます。ありがとう」と笑っていた。
夕方指示すると米をといで水加減を見て炊飯器のスイッチを入れる事が出来た。
まだ炊飯してる最中に蓋を開けて、「炊けてるかな?」とかなり気にする。
「赤子泣いても蓋取るなっていうじゃん。炊けたら保温ランプ点くよ」と言ってみたけど、
気になるらしく頻繁に蓋を開けていた。
夕食後ごろごろしていたので、6時20分にベッドに寝かせる。
夜9時過ぎに父は「家に帰る」と上着をきてうろうろする。
昼間正常に見えたので今日くらいは大丈夫だと思っていたのに。
靴を履かせて「送って行くね」と外に連れ出す。
ちょび犬の散歩コースを歩きながら、桜が咲いたら綺麗だろうという話とか、
出来たばかりの住宅展示場の話題をしたりして帰宅。
「何時に家に帰るんだ?」と言い出して、家に戻ったという感覚がまだないようで。
「今日はここにお泊りだよ。明日朝バスが迎えにくるからね」と言ってみると
なんとなく納得したのかベッドに横になる。
この調子だと真夜中にうろつきそう。眠剤を飲ませて落ち着かせることに。
■早朝2004/3/13(土)
 早朝4時に大きな物音がするので目が覚めた。
あちこちのドアをガタガタ開けたり閉めたりする音。
音がするということは父は外出していないということだから大丈夫と思い寝ることに。
6時に様子を見に行くと父はベッドに寝ている。
なぜか靴がベッドの脇に置いてある。理由を聞いてみると、自分の靴が入り口にあったからと。
今いる場所がどこなのかは解からないけど、来た事のある場所という認識らしい。
デイサービスに持って行くカバンを用意する。
9時15分お迎えバスに嬉しそうに乗り込む。
午後4時20分帰って来た父のおでこに傷バンが貼ってあった。
朝のバスから降りるときに、ぶつけて切ったらしい。
「血が出たから貼ってもらったよ。頭下げたつもりだったんだけどな」と。
いつものように今日何をしたかを聞いてみる。
カラオケとバトンを使用したゲームで昔話をしたらしい。
父は先日散歩の時についてきた黒い犬の霊の話をしたのだそうで。
ということは、妄想で見えた記憶は消えてしまわずに新しい記憶として残るみたい。
夕食の途中で「お風呂の洗い場に女の人の足があったんだよ」と言い出す。
家に戻ってトイレの場所が解からずにお風呂に行ったらしく、足だけが見えたとか。
食べてる最中に「気になるから見てくる」とお風呂まで確認しに行った。
戻って来て「誰もいなかったよ。さっきは足が二本出てたんだ。幽霊かな?」って。
それも妄想だよとは言えなかった。
■妄想電話2004/3/14(日)
 昼間目を離した隙に父は携帯電話でどこかに連絡している様子。
およそ30分くらい話をしていたので、いったい誰に連絡しているのかとチェックしてみた。
受信記録に今日の分がないので自分からかけただろうと発信記録を見た。
知り合いのおばさんの電話番号を押したつもりで、20ケタくらいの番号が。
もちろん発信など出来ないわけで。
あの30分間は父の妄想で相手が出ていると思い込みながら話していたらしい。
午後ホームセンターで花を購入して、庭に植える。
植え終わったら「ここに誰かが入り込まないように立ち入り禁止の看板つけようか」と
真面目に考えている。「公園じゃないんだから、いらないよ」というと、
「こんなに綺麗な花壇を荒らされたら困るなぁ」って。
そう言いながら父は黄色い花を踏んでいた。「お父さん、花踏んでるよ」と注意すると、
足をじっと見て、「この靴が悪い」と靴のせいにする。ちょっと笑えた。
夜7時過ぎ、東京の伯父から電話がある。父の調子が良さそうなので電話に出してみた。
久しぶりに伯父と会話して嬉しそうだったので、牛久の伯父二人にも連絡してみる。
3人の伯父(父の弟達)と普通に会話出来たので良かった。
(会話の中で妄想の内容も多少あったけど)
電話を切った後「みんな元気だったなぁ。よかった」と満足そうだった。
■朝から片付け?2004/3/15(月)
 デイサービスに行く準備をしようと父の部屋に入ったら、
泥棒が入ったあとのように散乱していた。
ベッドから布団が下ろされて重ねられていたり、
書道教室で使用していた座布団が積み上げられていた。
日常使用しているものが床に下ろされている。
「片付けしたの?」と聞くと、無言でぼーっとしている。
元の位置に全部戻して、デイサービスの準備をする。
お迎えバスが来たら嬉しそうに乗り込んだ。
午後4時20分に戻って来た父に今日なにしたかを聞く。
「朗読をしたんだ。自分が考えてる事とかを書いて発表したんだ」
「お父さんはどんな事を書いたの?」と聞いてみると、
何かを話しているのだけど、もごもごしていて内容は聞き取れない。
その後近くのスーパーまで歩いて買い物に行く。
父は食べたいものを選んで満足そう。
自分で選ぶ事とか買い物をするということが出来るうちは経験させた方がいいのかも。
■ズボンが履けない2004/3/16(火)
 朝起きてから父を確認したらベッドで横になっていた。
起こして朝食。その後入浴させる。今日は比較的正常。
ズボンを置いておいたら自分で着られるようなので、やらせておいた。
外の掃除をしていたら、父が下着姿のまま庭に出てくる。
「ズボンどうしたの?」と聞くと「難しくて」と言い出す。
家の中に入れてズボンを履かせる。
その後普通に会話が出来たので、父に留守番を頼んで病院に行く。
お昼頃戻ったら父がちゃんと家にいたので安心する。
午後バックを用意してどこかに出かけようとする。
「お風呂に行くんだろう?」「それは明日バスが迎えに来るよ」と言っても納得しない。
教室の手本や巻物をダンボールに分類する作業を指示するとやりはじめる。
夕方「お金がないんだよ。」と探し出す。
いつも入れている場所にないので「お財布どこにしまったの?」と言うと、
「いつもの場所に入れたよ」と引き出しから出してくる。
「お財布あるなら大丈夫じゃない」と言ってみたら「中身がない」と言い出す。
確認したらちゃんと入ってる。不安なんだろうな。
夜9時過ぎに父の部屋で大きな物音がする。
ドアを開けてみたら真っ暗な部屋のドアの直前に父が立っていた。
ヘタな恐怖映画より怖かった。
予想していない行動には慣れたつもりだったけど、
本当にびっくりした時は声も出ないものなんだなと。
寝ても1時間毎に起きて行動するのが日常なので慣れたけど疲れる。
■重ね履き2004/3/17(水)
 デイサービスの用意をしていたら、父がズボンを履いていた。
昨日難しくて履けなかったのがくやしかったらしく、
下着の上にジャージを履いて、パジャマの下を履いて、ズボンを履いていた。
重ね履きになって、モコモコしている。
「今日は気温高くなって暖かいから、ズボン1枚だけの方が楽だよ」と脱がせる。
お迎えバスが9時に来て、嬉しそうに乗り込んだ。
午後4時20分帰りのバスで戻って来る。
今日は昔話の本を朗読。「猿とかいろいろ出てくる話だった」
「猿かに合戦かな?」と聞いてみると、
「よく解からないけど、動物が出てきた」と思い出せない様子。
「カラオケも2曲歌ってダンスも教えたんだよ。クイックのステップをやったんだ」と。
午後6時久しぶりに筆で何かを書いている。
「書道会」という文字はまだ書けるようだけど、バランスを考えて書く事が出来なくなっている。
■幻覚と妄想2004/3/18(木)
 朝食後父は部屋で洋服ハンガーをじっと見ていた。
「TV見ているんだ」と言う。もちろんそこにはTVは無い。
午前9時30分に「お昼食べに行かないか?」と出かける仕度をしている。
時間の確認をさせて、教室の片付けを指示するとやり始める。
目を離したすきにまたいなくなる。30分後「近所を散歩してきた」と戻ってくる。
家に戻る事が出来てほっとした。
デイサービスを利用してから家に戻るという感覚が戻って来たのか、
行方不明騒ぎを起こさなくなってきた。いい傾向かも。
そのうち筆を持ち出して何かを書いているのだけど文字になっていない。
紙に鉛筆で文字を書いてあげた。父は見て書くとか、なぞって書く事が出来ない。
何枚か書けた時に「筆が二重に見えるから書き辛い」と言い出す。
「眼鏡して書かないとずれるでしょ。私も乱視だからずれて見えるよ」と、
眼鏡をかけさせてみた。下書きに合わせて線が書けた。
「まぁ、ここまで書けたら大丈夫でしょ」と言ってみると、
「また後で書いてみるよ」とヤル気が出てきた様子。
午後新聞を音読させてみた。簡単な漢字が読めなくなっている。
発症する前は漢文まで読みこなしていたのに。
音読を私がして、その後父とニュースの話をした。
突然父が「明日この集まりは何をする予定なんだ?」と言い出す。
父は私が誰かは解からないけど昼間集まって来ているどこかの人で、
毎日何かをやっていると思っているようで。
「明日はお彼岸だから、お墓のお掃除しに行ってお線香あげようね」と言ってみると、
父は「うちの墓を掃除してくれるのか。有難いな」と。
やっぱり娘だって解かっていなかったようで。
夜10時半に線香とライターを持って「お墓に行く」と出かけようとする。
時間確認させて寝かせた。
■流血2004/3/19(金)
 午前中、車に乗り込んできた父をみてビックリした。
顔の右側のひたいからほほにかけて流血している。
「このまえバスから降りた時にぶつけた場所が、かゆかったので掻いた」と。
かさぶたを剥がしてしまって血が出ていたのに気付かなかったらしい。
出ていた量に比べて傷は5ミリくらいなので安心した。
花を購入してお墓に行く。草むしりと掃き掃除をしてお線香をあげて来た。
昼食後、庭と駐車場の掃除を父としていたら、
「隣の家の駐輪場に裸のおじさんがいるんだよ」と言い出す。
見ている視線の先は空中で、地面から180cmくらいの高さ。
「2匹の大きな茶色い犬もいるよ」というので、
「私には見えないから、また霊が見えちゃったんだね」と言ってみると、
「あんなにはっきり見えてるのに、見えないのか」と不思議そう。
夕方近くのデパートに買い物に行こうとした車の中で父は変な話をする。
「さっき教室にいた男の子と女の子の名前が思い出せないんだよ。
自分の作品以外に、俺が書いたやつまで持って行こうとするんだ」と。
「お父さん、今日は誰も来てなかったよ。それって幽霊がまた見えたんだよ」
と言ってみたら、「見えるようになったことを誰にもいうなよ」と言い出す。
父は特殊能力が身についたと思ったようで。
毎回なので慣れて来たせいもあるけど、お茶目だと思えるようになった。
ケアマネのEさんから連絡がある。5月の連休にショートステイの予約が取れたと。
頑張って調整してくれたようで有難い。
■あっちの家2004/3/20(土)
 デイサービスの用意をしていたら、父が怪しい行動をしていた。
そばに置いてあった発泡スチロールの箱を抱えて何処かに行こうとしているようで。
「この箱は家に置いてある箱なのに、なんでかここにあるんだよ。
あっちの家に持って行かないと」と今いる場所が解からない様子。
午前9時少し前にバスがお迎えに来て、嬉しそうに乗り込む。
午後4時20分、みぞれ混じりの雨の中帰宅。
「今日は雪が降って寒いなぁ」と言いながら暖めておいた部屋に入って、
「わぁ。暖かい」と喜ぶ。
今日はかるた遊びをしたらしい。「3つのグループに分かれてやったんだ。
誰もが札を取れるんだよ」といいながら、
どんな感じでやったかを説明してくれた。楽しかったようで。
午後5時過ぎに夕食後、家の電話に父が携帯からかけてきた。
知り合いのおばさんに連絡したつもりで家にかけたのが判明。
用事を聞くと、「明日暇かなと思って」と。
「明日はリフォームの見積り業者が来るから、
お父さんもいないとダメなので、お父さんが暇じゃないんだわ」と言っておいた。
明日というキーワードを使用してしまったので、夜中騒ぐかな。
■お風呂に名前2004/3/21(日)
 朝まで騒がずに寝ていた父を起こす。姉が様子を見に来てくれる。
午前10時にリフォーム業者さんが来て見積りを出してもらう。
将来父が車イスになった時を考えて、スロープの入り口や、
手すりつきのトイレとお風呂と水まわりを増設することに。
来てくれた業者さんは介護施設を施工したことがあるらしく、
引き戸のサイズとか詳しいので任せられるかなと。
昼過ぎ、公園を散歩していると、父が「お風呂に名前をつけなきゃ」と言い出す。
なんでそんな言動が出るのかを今までの発言を思い返してみた。
父は近くの温泉とか、デイサービスで利用しているお風呂に施設名がついてるので、
今回リフォームで増設するお風呂もそんな施設のひとつだと思っているらしい。
夜7時に一度寝た後、1時間毎に起き出して妄想の話をする。
姉が生徒を集めているという話や、ダンスの予定を決めるという話など、
夢が現実に思えるようで、半眼になりながらうろつく。
その度にベッドに寝かせる。
11時首にタオルを巻いて薄着で外に出て行く。慌てて連れ戻し眠剤を飲ませて寝かせた。
■デイサービス2004/3/22(月)
 朝父を起こすとぼーっとしている。眠剤の影響が残っているのかと思ったら、
夜中デイサービスに行く準備を自分でしようと起きていたようで。
いつも持って行くカバンにタオルが1枚入っていた。
靴を履いた形跡と玄関が開いていたので、外で待っていたらしい。
朝食後ベッドに横になったので迎えに来るまでは寝かせておいた。
午前9時迎えのバスが来ると「行ってくるよ」と嬉しそうに乗り込む。
午後4時30分雨の中送ってもらい帰宅。
今日は早口言葉ゲームというのをしたとか。
「早口言葉の本を一人が読んで、みんなで早口言葉を言ったりしたんだよ。
カラオケとダンスもして、踊れるのが凄いねと誉められた」と嬉しそう。
「お昼はどんなものを食べたの?」と聞いてみたら「食べていない」と。
連絡ノートの食事状況に(ほぼ全量食べた)とチェック付いているのを確認してから、
質問の仕方を変えてみた。「お魚とお肉どっちが出たの?」と聞いてみたら、
「魚のフライが出たよ」と答える。具体的な質問だと答えが引き出せるらしい。
先日TVで見た子育ての質問に「幼稚園で何してきたの?」と聞かないで、
「お庭で遊んだ?それとも積み木で遊んだ?」と具体的な質問をしましょうというのを思い出した。
痴呆症の症状が出ている時は記憶も混乱したり忘れたりするので、
幼児に対するような質問の仕方をその都度工夫しないと。子供扱いしてはいけない所が難しい。
いきなり父が「あの会社は何をしてる会社なのかな?何の仕事すればいいのかな?」と言い出す。
父はデイサービスを受けているのではなく、仕事しに行ってる感覚らしい。
夜8時以降、珍しく妄想で騒いだりうろついたりしなかった。
■股を火傷2004/3/23(火)
 朝食後、比較的正常だったので教室の片づけを父と一緒にする。
ダンボール箱の底にガムテープを貼る作業をしていたら、必要ない場所に貼っている。
箱の組み立て方を説明して、貼る場所を教えても理解できていない。
「ここにテープを貼ってね」と指示すると貼ることが出来た。
「辞書類や書籍を分類して箱に入れて」と分類してみたら、
お煎餅やみかんまで入れてしまう。見ていない場所でこっそり移動しておく。
夕方洗濯物を取り込もうとして、ズボン下の股部分に黄色い変色を発見する。
干した時にも薄っすらと色が変わっていたのだけど、乾いたら発色が進んでいた。
排泄物で変化した色じゃなく、なにかのシミらしい。
色から推理するとカレーなどのターメリックが入ったスープなのかも。
父に見せたら「昨日熱いものをこぼしたんだよ」と言い出す。
昨日の行動を思い出してみた。朝食の時何かをこぼしたという事は無かったはず。
今日の洗濯物に入っているということはデイサービスに行く前にこぼしたらしい。
ズボンを履いていたらそれにもシミがあるはずなので、全部のズボンを見たけどついていない。
ということは、父は昨日のデイサービスに行く前の夜中に何かをこぼして火傷して、
そのまま拭いて上にズボンを履いたのだろうか。
昨日の朝は少し痴呆の症状が出ていたので、火傷したことを説明する事も忘れていたのかな。
その後デイサービスのお風呂で着替えたのだろう。
下着のシミを見て自分の股に火傷が出来た事を思い出したらしい。
「なんでか股が痛かったんだけど、いつこぼしたか忘れちゃった」と。
場所が股部分なのでどんな火傷なのかは見せてくれなかった。
■トイレのルール2004/3/24(水)
 最近父はトイレで小用をするときに中蓋を開けてすることが出来なくなっている。
父が入った後は汚れていて、毎回掃除しながら入っていたのだけど。
普段から中蓋を持ち上げておけば、汚さず使用することに気付いた。
デイサービスの連絡ノートに「お風呂の時、男性職員の方に火傷を見てもらいたい」と記入。
本人はお風呂に入っても痛くないから大丈夫と言っていたけど。
午前9時、今日も嬉しそうにバスに乗り込む。
午後4時20分過ぎ戻って来る。職員の方が「火傷の相談は看護師に診てもらいました。
赤くなるとか痛みもないようなのでこのまま様子をみてください」と伝えてくれた。
看護師さんが常駐されていて、診ていただけるのが有難い。
今日はサイコロゲームを楽しみましたという連絡ノートの記入があったので、
どんなゲームだったか聞いてみたら「俺は参加しなかった」と言う。
サイコロゲームという名称が理解出来ないのだろうと思い、質問を変えてみた。
「懐かしい話とか、嬉しかった話とか、そんなことやらなかった?」と言ってみると、
「そういえば誰かが懐かしい話をしてたな。俺は聞いてただけ」と。
その後も今日の行動を聞いたりして、お茶を飲んだ。
夕食前にジャガイモの皮を剥いて貰うことを思いつく。
先日見たグループホームのサイトに、痴呆症の人は物の名称は忘れるけど、
道具を使う事は出来るということが載っていた。
お年寄りが食事の準備に参加して楽しそうだと。
包丁を持たせて皮を剥くことが出来るかどうか、父にも試してみたわけで。
一応昔は調理師免許を取得したくらいの料理好きな父。
新ジャガイモの小さいサイズを20個ほど剥いてもらう。
ちゃんと芽を取る事も出来た。怪我することもなく包丁が使えたのでほっとする。
まだ出来る事を日々発見して経験させておくことも大切なんだと思った。
■菜の花2004/3/25(木)
 真岡の桜並木に菜の花が綺麗な場所があるというので行ってみた。
真岡駅で聞いてみたら、沿線の北真岡にあるとのこと。
大前(おおさき)神社の裏手にあるリス村の前に菜の花が咲いていた。
桜はまだ蕾だったけど間に植えられている梅が散り際で綺麗。
父も喜んでくれた。後1週間後には桜も咲いて綺麗なんだろうな。
午後2時ケアマネEさんが書類を届けてくれたので、
介護認定の再調査認定をお願いする。父の症状も進んでいるので、
デイサービスやショートステイの利用を増やしたいと伝える。
リフォームも症状に合わせて検討することに。
夕方近くの温泉に父を連れて行く。顔見知りの人もいて温泉を楽しんだ様子。
■妄想2004/3/26(金)
 朝食後父があちこちのドアを開けたり閉めたりしていた。
「弟子がいないんだよ。さっきから探しているのにどこ行っちゃったかな」と。
父の探している弟子とはいったい誰のことなのか。
書道の生徒という表現ではなく弟子という言い方なので、何か妄想を見ているらしい。
最近は痴呆症状が出ているのが普通になってきたから、少し変な言動しても気にならない。
父の想像力の豊かさを楽しめるようにもなってきた。
昼食後、今いる場所が解からなくなって混乱している。
「職場(約25年前の場所)に行く」と自転車をガタガタさせていたので、部屋に戻して昼寝させる。
2時間後起きてきたので、薬の分別を手伝ってもらう。
ケアマネEさんが介護申請に必要な介護保険証を取りに来てくれたので、
リフォームの事や今日の症状を話す。
その後父が何かを書いていたので覗きこむと「自分の名前の漢字が解からない」と。
似たような字を書くのだけど違っている。2文字の半分づつを一緒に書いたり。
自分の名前が書けなくて悩んでいるので「教室に名前の書かれたものがあるよ」と教えると、
辞書を片手にうろうろする。「書道の免許にお父さんの名前書いてあるよ。」と壁の額を指差すと、
イスを持って行って額を一生懸命見ている。
「解かった。書いてみるよ」と紙に書き出した。
似た違う字だったので、「その字じゃないなぁ。もう一回見てきたら?」と確認させる。
どうにか名前が書けたけど、今度は住所が解からないらしい。
最初に言い出した住所は50年以上も前に住んでいた実家の住所。
首から下げている紐付きのネームカードを確認させると、
「ああ、宇都宮だった」と書き出す。頭をいっぱい使ったので疲れたらしい。
■夜中から準備2004/3/27(土)
 デイサービスの準備を真夜中からしてしまう。いつものこと。
朝迎えにくる直前まで眠いらしくベッドに横になっていた。
午前9時すぎにお迎えが来て、嬉しそうに乗り込む。
午後4時20分帰宅。バスから降ろしてカバン受け取り、父と一緒にバスに手を振る。
カバンを持っている私を見て父は「今帰ってきたのか?」と言う。
「これはお父さんのカバンだよ。帰って来たのはお父さんじゃない。おかえり」
「ああ、これ俺のか」と照れ笑いする。
今日は3月生まれの人のお誕生会があって、ケーキが出たらしい。
お祝いに歌を歌ったとか。3月生まれの人が4人いて、全体で40人くらい来てたと。
「あさっては休みなんだよ」と言い出すので連絡ノートで確認。
お休みではないので、想像してみた。
今日会った誰かが月曜日は自分は休みだと言ったのを施設が休みだと思ったのかも。
「月曜日はお迎えバスくるよ?お休みじゃないと思うけど」と言ってみると、
カレンダーを見ている。今日が何日で何曜日かという事が解からない様子。
夕方回覧版がまわって来て「ゴミの分別」の冊子が入っていた。
「ゴミの分別の仕方が書いてあるから読んでみよう」と説明しながらページをめくる。
分別の方法などは理解していない様子。「いっぱい色ついてるな」とイラストを誉めていた。
■姉に預ける2004/3/28(日)
 朝食後しばらく寝ていた父を起こして入浴させる。
姉が来て、前回行った蕎麦屋で昼食。
その後私は出かける用事があったので、父を姉に預けることに。

今日の行動(姉からの報告):
[今日は普通にぼけてたよ。話が意味不明だったのは毎度の事。
新里街道の栗谷沢ダムに行き、釣りをしてる人を冷やかして来た。
ロマンチック村がすごく混んでいたから、そのままドライブ。
買い物して2時30分帰宅。夕方4時に夕飯を食べようとするから6時迄待たせた。
冷蔵庫にあったおでんを温めて半分残しで食べたよ。
その後、日記を書かせたけど読んでない。
野球を見せているうちにうとうとし始めたけど、8時までは起きていた。
その間2回ほど玄関から外にでて教室の入り口から入って来た。]

姉は午後8時過ぎに父が熟睡したのを確認して帰宅したらしい。
昼間動いたのと夜8時まで起きていたことで、父はイビキをかいて寝ていた。
家に戻ってから、姉に父が熟睡してることを連絡。
姉が一日お世話してくれた事に感謝。貴重な休日を費やしてくれて有難い。
■ピカソ?2004/3/29(月)
 朝起きて外を見たら父が道路を見ていた。何時から立っていたのだろう?
デイサービスのお迎えバスを待っている様子。
「おはよう。お迎えは9時に来るから、まだ中で待っててね」と部屋に戻す。
午前8時55分お迎えバスが来る。やっと乗れたと嬉しそう。
午後4時30分帰宅。「おかえり」の言葉に反応がない。
洗濯物を取り出して洗ったり、今日何をしたかを聞く。
指まわし運動というのをやったと、やり方を説明してくれた。
市の介護認定担当さんから、来週再調査に来るとの連絡が入る。
夕食後父に日記を書かせてみる。「出来た」というので「読んで聞かせて」と言ってみたら、
自分が書いた文字が読めない様子。
書いた部分を覗き込んでみたら、何かが書かれているんだけど判読不能。
文字や文章は無理だなと思ったので、「干支の絵描いてみよう」と描かせてみた。
1ページに3種類を次々と描くのだけれど、ピカソの「ゲルニカ」の人物みたいなものが。
牛は頭と胴体と尻尾が別々の多角形の集合体で描かれている。
描きたくても描けない自由な発想の線。芸術は爆発・・・って岡本太郎も言ってたし。
■ショートステイ2004/3/30(火)
 30日〜1日までの初めてのショートステイ。
料金がデイサービスとは別扱いになる。2泊3日というのではなく3日という扱いになるようで。
朝の送迎から利用する場合と夕方施設に直接連れていって利用しても料金は1日扱いに。
最終日も朝迎えに行ったとしても夕方送ってもらっても1日扱い。
そのほか食事代と送迎代などが別途かかる。
利用料は当日持たせるので、昨日のうちに3日利用の金額を確認しておいた。
前日までに話してしまうと夜中から待って騒ぐので、泊りということを知らせなかった。
時間の約束をするとその事で頭がいっぱいになってしまい、
毎回のデイサービスでも帰りの時間前からバッグを持って帰り仕度をしてるらしい。
どこかに行くとか誰かと会うとか何時に何をするということを直前に言わないと、
数時間前から待ってしまう。
朝9時に迎えのバスが来た。職員の方に「本人には泊りと話していません」と伝える。
「午後になってから今日はここにお泊りですよと伝えましょう」と父に聞こえないように話した。




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