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育老日記・痴呆の症状と向き合う備忘録



■帰宅・ケアマネNさん訪問2004/11/1(月)
 今日から5,000円札と1,000円札が新しくなる。
11月の施設利用料を用意するので銀行にて両替。
新しいお札は樋口一葉と野口英世。
デイとショート用に小分けして袋に入れた。

午後4時30分帰宅。
部屋のカーテンとコタツを喜んでくれた。
特にコタツは一度入ったら動かない。
トイレに行くのも忘れちゃいそう。
午後5時ケアマネNさんが突然訪問。
ショート追加分の申請書類をいまから市役所に届けに行くらしい。
住所と名前と電話番号を記入して捺印。
「急ぐのでまた後日来ます。今日から携帯しながら電話すると捕まるので、
電話連絡が頻繁だからイヤホンつけることにしたんですよ」と。
運転するときは携帯に出ないか、イヤホン類を使用しないと危険だし、
罰則もつくようになったし。
ケアマネNさんが帰った後、父はコタツで熟睡しはじめた。

夜10時30分、家の中を徘徊しはじめた。
寝かせると10分後に起き出して靴を持ってうろつく。
半眼で夢の中という感じなので、タオルを濡らしてレンジで温めた。
首まわりと顔と頭を拭いてみた。
「気持ちいいな」といいながら熟睡しはじめた。
また徘徊するような時に試してみよう。

11月予定
デイサービス:3/10/19/20/22/24/26
ショートステイ:〜1/5〜8/12〜17/27〜2

■足跡2004/11/2(火)
 朝起きて父を確認。ちゃんとベッドで寝ていた。
夜中庭に出た跡がくっきりと残っている。
犬の糞をサンダルで踏んで、その後歩き廻ったらしい。
玄関も汚れたままだったので、サンダルを洗ってから玄関の掃除。
足跡を辿ると駐車場を廻って道路に出ようとして戻って来ている。
行動が解かるような足跡だった。
バケツに水をくんでブラシで足跡の汚れを掃除した。
昼間は書道をしたり、絵を描いたりして過ごした。
午後7時過ぎ、いきなり妄想状態に。
「大変なんだよ。そこにいる男2人が写真を5枚持ってて、
そこに写ってる人を殺すっていうんだ。
×××(姉の名前)がその中の一枚に写っていたんだ!」と。
「どこに男の人がいるの?」と部屋を一応見回してみると、
「気をつけろ!俺聞いちゃったんだよ。大きい声出すと出てくるよ」って。
さっきまで父は大声で話していたのに急にひそひそ声になった。
この話にのっかっていいものかどうか考えた。
夢で見たものにしては父の慌てぶりが凄かったので、
何か影響されているニュースとかTVの番組があったかなと思い返してみた。
そういえば夕方「眠れる森」木村拓哉主演のドラマ最終回を父と見ていた。
犯人が昔殺人事件を起こしたシーンや、船の上で刺されるシーンが。
もしかすると二人の男っていうのは中村トオルと陣内隆則なのかも。
数時間前に見たものが妄想になって現実に感じるのだろうか。
しかも姉が巻き込まれていると思い込むなんて。
そういえば学生の頃の姉は長い髪だったし。
中山美穂=姉というイメージだったのかな。
どうにかして殺されないようにと必死の形相だったのは、
優しい親心の表れだったのかも。
「ドラマの内容を夢で見ちゃったんだね」と寝かしつけた。
こんな夜はまた続けて妄想を見るんだろうな。
■妄想と徘徊2004/11/3(水)
 朝デイの準備でヒゲソリをしていたら、
右側のアゴにコブ状のしこりを発見した。
ゴリゴリ押してみたけど痛みは無いらしい。
帰宅後アゴを確認してみたら無くなっていた。
リンパが腫れていたのかな?
姉が様子を見に来てくれた。
昨日の「夢」の話をして「心配してくれてありがとう」と。
夕飯を食べた後一度寝て起き出してから酷い妄想と徘徊が。
「バイクで課題が届くのを待っている」と道路に立っていたり、
誰かと延々1時間も会話したり。部屋をうろつく。
10時過ぎに机の引出しの中身を全部出していた。
ベッドに誘導しようとすると、立てない。
タオルを温めて顔を拭いたら目が覚めたのか立つことが出来た。
横になってもブツブツと何かを言いつづけている。
数をかぞえて、「だんだん眠くな〜〜る」と言ってみた。
少しは効果があったのか、喋るのを止めた。
10分後には「ここのきのこは良く取れる」と言い出す。
そのまま寝かせて様子をみることにした。
くしゃみと鼻水が出ているので風邪をひいたかと思ったら、
失禁していて下半身が濡れていた。
下着とズボンを取り替えて寝かせたら熟睡しはじめた。
■夢の中2004/11/4(木)
 昨日4時間近く妄想で喋り続けたのが疲れたのか、
朝父を起こしても熟睡していて目を覚まさなかった。
そのまま寝かせておいて、汚れ物の洗濯と部屋の掃除。
窓を全開にして空気の入れ替えをした。
午前9時頃父を起して庭に連れ出して簡単な体操をさせた。
朝食後外に出て「かばんはどこにあるのかな?」と言い出した。
「今日は出かけない日だよ」と室内に戻したら、また寝てしまった。
お昼頃父が「昨日七夕(たなばた)だったんだよ」と言い出す。
昨日の夜4時間喋り続けた記憶があるらしいので、
この際だから訊いてみようと思った。
「今は11月だから、昨日たなばたの夢見てたんだね」と
「たなばたは夏だし、お父さんは今長袖を着てるから季節違うよね。
楽しい夢だったんだね」と念をおしてみた。
何かが変だということに気付いたらしく、「夢かぁ」と納得した様子。
「昨日七夕で短冊に水害土石流はもうごめんって書いたんだ。
行く旅館全部に俺の作品があるんだよ。
展示会していてカラオケやって安い旅行でさ。
書いた物をみんなまねして書いていて、
今度展示会したら名前が売れるねっていうんだよ。
俳句とかやってるグループもいて、ペン字で細い字書いたんだ」と。
「作品に自分の本名が書かれていた」というので、
「お父さんが何か書くときは雅号書いてるじゃない。
本名で書くってことは無いから、やっぱり夢だよ」と指摘してみた。
父の話の中に出てくる行った旅館全部とは、
毎日違う所に泊りに行っている感覚のことらしい。
自宅だったり施設だったり。
「そうだなぁ。夢だなぁ」と笑っていた。
本人にとって楽しい経験だと思えたのだから良しとしますか。
■ショートステイ11/8日(月)まで2004/11/5(金)
 朝ヒゲソリと整髪と爪切りをして準備。
自分から庭に出て身体を伸ばしたり腕を上げたりしていた。
11/8日(月)までショートステイ。

ケアマネNさんから勧められた特養に連絡して見学することに。
家から16km離れた場所にあって、車で20分位。
距離はあるけど、途中が田舎道なので交通が少ない。
総合病院敷地隣の新しい建物。センスのいい絵や写真が壁に。
県内ではじめてのユニットケアで少人数(10人)単位の
居住環境はグループホームに近い感じ。
個室8畳に洗面と車椅子でも使用できるサイズのトイレ完備。
備え付けタンスと医療用ベッドが。家具持込可。
食べ物の持込は訪問者含めて不可。
共有スペースでご飯を炊いて、汁物を作るようにIHクッキングヒーターが。
惣菜は別調理室から運んで来るようになっている。
職員は普段着のラフなスタイルで、施設という空気がない。
今年7月にオープンしたばかりで、まだ数部屋の空きがあるとか。
案内してもらって申し込み書を記入してきた。
「入所申込者調査票」と「入所に係る介護支援専門員意見書」を
後日審査の為に頂いて来た。
ケアマネNさんに連絡して近いうちに書類を渡す事を伝えた。
今後の動きは、
申込み→ケアマネ内容確認→一次判定→二次判定→入所意思確認。
その他主治医診断書提出などがある。
空室があっても審査が通らなければ入所出来ない。
ここなら高速道路のインターに近いので、
伯父さんたちが面会に来るのも楽そう。
■特養再度見学2004/11/6(土)
 昨日午後から発熱。疲れがどっと出た感じ。
風邪薬飲んで、父が帰宅する前に治しておかないと。
午後姉が仕事帰りに様子を見に来てくれたので、
申し込んだ特養を見に行こうということに。
昨日とは別の職員さんに案内してもらった。
別の部分も見せて貰って納得。
審査通って入所出来たらいいな。
■帰宅2004/11/8(月)
 父のフリーストレーナーを2枚購入。
前後が解るように前チャックのタイプにした。
午後4時帰宅。いつものように何をしたかを訊く。
「指回し運動したり、バスケットボールを皆で回したりした」
と手振り付きで説明してくれた。
いろいろ話をしていたら、「血圧が高くて倒れた」と言い出した。
「お父さんが倒れたの?」と訊いてみたら、
「同じ部隊の人なんだけどさ。倒れたんだよ。
うちにも電話で倒れたってかかってきただろう?
迎えに来た人だけ先に帰れたんだ」と。
想像すると、他の利用者さんが倒れた事を言っているらしい。
職員さんがご家族に連絡して迎えに来てもらったのかな。
くしゃみを連発していたので、夕食後ベッドで寝かせた。
以前痴呆症の症状になると風邪の症状が出ないものだと思っていたけど、
ちゃんとした会話が出来るときは感覚も正常らしいので、
風邪の症状も出るのだなと思った。
■書き物2004/11/9(火)
 夜は1時間毎にトイレに行く。
残尿感があるのか、トイレから戻ってもまたすぐに行ったり。
部屋に戻ってもベッドが解からなくて別の部屋を探していた。
誘導するとすぐに熟睡。

朝父がまだ寝ていた。
寝てばかりいると夜が大変になるので、
起こして朝食後、庭掃除と書き物をさせた。
ローカルTVで演歌の番組をやっていたので、
カラオケの話をしてみた。
知り合いが地元の大会で優勝して他の大会にゲストで出たとか、
かなり昔の事だと饒舌になる。
今日は字がまともに書けなかったので「また後で書くよ」と
さっさと片付けてしまった。
昼食後コタツで昼寝。
午後菊の挿し木をしようということにして、
父を庭に誘い出す。
「さつきはあるけど、菊はやったことが無い」と言いながら、
土に刺す作業を指示したら楽しそうに作業していた。
夕方姉が様子を見に来てくれた。
先日の特養見学の時に私の風邪がうつってしまったようで。
父は昨日私に話した「誰かが倒れた話」を
記憶を探るような表情で思い出しながら姉に話していた。
午後7時「もう寝るよ」と言い出したので、
着替えさせて寝かせた。
■書類を渡す2004/11/10(水)
 デイ準備でヒゲソリと整髪。
午前9時お迎えバスに嬉しそうに乗り込む。
睡眠不足解消の為に昼まで寝たら、すっきりした。
ケアマネNさんに連絡して特養提出書類を取りに来て貰う。
ついでに内容の確認をしながら記入。
今日特養に行く用事があるとの事で、書類提出もしてくれるらしい。
妄想の話をしていたら、「バールを持った3人に襲われる」と
毎日言いつづけた人もいたそうで。
父の症状を話したり出来たので、気持ちが楽になった感じ。
午後4時帰宅。
ドレミ体操というものをやったと連絡ノートに書かれていたので、
どんな事をやったのか教えてもらった。
左手の動きが鈍っている。
お茶を飲みながらうとうとしているなと思ったら、
コタツのカバーをしきりにつまんでいた。
目が覚めた時に「どんな夢見てたの?」と訊いてみると、
「きのこ取ってたんだよ。いっぱい取れただろう」と
現実と夢が混同している様子。
夕飯に蕎麦が食べたいというので、天麩羅蕎麦と惣菜を出した。
食後眠そうだったのでベッドに誘導したらすぐに熟睡しはじめた。
■書き物2004/11/11(木)
 朝父を確認したら、ベッドで熟睡していた。
机の上に文字を書いた紙が数枚。
夜中に起きて書道をしていたらしい。
午前8時30分に起こして朝食。
「今日は出かける予定無いから書き物でもしようね」と
新しい紙を用意すると書き始めた。
以前の字と比べるとまともな字になっていないけど、
「勢いあるね〜。いい字が書けたじゃない」と励ましてみる。
父もヤル気が出たようで、何枚も一生懸命に書いていた。
夕食後一度寝て起きた父は「家に帰る」と外に出て行く。
引き戻して家の中を説明して「ここが家だな」と思い出させた。
半眼なので夢を見ている感じ。
今夜もまた徘徊するんだろうな。
■ショートステイ11/17日(水)まで2004/11/12(金)
 朝父が寝ているのを確認して、ほっとする。
夜中何度も「家に帰る」を繰り返したのと、
玄関の靴の状態から外に出たりして疲れたのかな。
自分で起きてトイレもすんなり行くことが出来たので、少し正常。
ベッドに戻って熟睡していたので寝かせておいた。
午前8時過ぎに起こして朝食と準備。
「坂本くんは?さっき仕事してたんだけど」と
いきなり言い出した。
どこの誰でどんな仕事してる人なのかを訊いてみると、
55年前に戻っている様子。父が20歳の頃。
夢で見た内容が現実に思えるのはいつものことだけど、
今日はかなり過去に戻ってしまっている。
午前9時雨の中お迎えバスに乗せた。
脱力感とほっとする気持ち。
いつまでこれが続くのかな。
■湿疹2004/11/17(水)
 午前9時45分に、申し込んでいたグループホームから電話が。
父の最近の様子はどう?という質問などがあったので、
空きが出来て入所をどうするかという話なのかと思ったら、
「まだ空きが無いので、すぐには入れないんだけど、
この前電話を貰っていたから一応連絡してみた」とのこと。
ちょっとがっかり。でも、特養の審査も控えているので複雑な気分。
グループホームは今の父の症状にはいいのだけど、
将来を考えると医療設備も近くにある特養の方がいいのだろうな。

午後4時帰宅。
メモに「湿疹が出ているので病院で診て貰って下さい」と書かれていた。
父の顔が赤くなっていた。髪の中もカサカサした状態と赤い湿疹が。
上着をまくってみると背中も赤くなっていた。
「なんだか酒を飲んだみたいに赤くなったんだよ」と痒そう。
すぐに病院に連れて行って診察してもらった。
血液内科の先生に診てもらったので、血液検査もする。
「頭と顔と背中だけが赤くなっているので、
食べ物のアレルギーというよりは、
シャンプーを取り替えたりしたときに出る症状のようです。
ちゃんと流していないような感じで出たのかもしれないね。
飲み薬と塗り薬を出しておきましょう」と丁寧な診察。
自宅に戻って夕食後薬を飲ませて塗り薬を塗っていたら、
あんなに赤かったのが落ち着いてきていた。
病院に行ったということと、血液検査で注射を打ったということが、
症状を軽くしたらしい。
思い込みで症状が軽くなるなら、何度でも病院に連れて行こうかな。
「この薬は眠くなる作用があるから、飲んだら安静にしようね」
とベッドで寝かせた。
■水墨画2004/11/18(木)
 朝父を確認しに行くと、ベッドで熟睡していた。
赤くなっていた症状は少し良くなっている。
朝食後水墨画をやらせてみる。
カボチャを描いたらしいのだけど、
縦の線が異様に多くてモスラの幼虫みたい。
空間の認識や物の形を認識することが難しくなっているようで。
昼食後薬を飲ませたら寝てしまった。
すぐに「そうなんだよ。そこだよ」と寝言を言い出す。
目覚めた後に何の夢を見てたかを訊くと、
「囲碁をやってる」と碁石を置くような手の動き。
アレルギー系の飲み薬が眠気を誘うようなので、
ベッドに誘導して寝かせた。
■ちょびご飯2004/11/19(金)
 朝父を確認しに行ったら、起きていた。
夜中に自分でご飯をよそって、
レトルトのカレーをかけて食べた跡が。
炊飯器に残っていたはずの2合分のご飯が無い。
「ちょびにご飯あげた」と父が言うので確認しに外に行くと、
犬用ご飯皿に茶色のものが入っていた。
ちょび犬も困った顔をしているので、室内に持ち込んで見てみると、
ご飯の上に「蕎麦茶」が大量にふりかけてある。
「お父さんこれ何をかけたの?」と訊いてみると、
「ふりかけかけた」って。
パッケージを認識して中身が何かを理解する能力が落ちている。
ちょび犬にご飯をあげようとする行動があるのは嬉しいけど。
デイの準備でヒゲソリをして薬を塗った。
頭皮がボロボロ剥がれるので蒸しタオルで落とした。
午前9時過ぎお迎えバスに嬉しそうに乗り込んだ。
午後4時帰宅。
「秋の歌をうたった」と連絡ノートに書かれていたので、
それを話題にしてデイの話をさせた。
お茶を飲みながら目を閉じたと思ったら寝ていた。
またコタツのカバーをつまむような仕草をしていたので、
目覚めた時に何を夢で見ていたかを訊いてみた。
「ドリルが・・・鉄に穴あけるドリルを組み立てた」と。
寝ながら身体は動いてしまうと疲れるだろうな。
夕食後飲んだ薬のおかげで熟睡していた。
■認知症2004/11/20(土)
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痴呆症から認知症へ

「痴呆(ちほう)」の代替語を「認知症」とする方向でほぼ一致。
厚労省は決定後、介護保険法など関係法令を改正する一方、
来春までに行政文書などでも「認知症」への切り替えを目指す。

「痴呆」という表現には蔑視(べっし)的な意味が含まれ、
「何も分からず、何もできない」との誤解を招きやすく、
早期診断などを妨げる一因との指摘があった。
このため厚労省は6月から新たな呼称を検討してきた。

以前から症状を説明する時に「痴呆症」というのが
なんだかなぁと思っていたのだけど。

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朝いい天気だったので、父を庭に連れ出す。
両手をあげたり回したりストレッチをした。
お迎え2時間前から「かばんはどこ?」と探したり、
「連絡ノートはあるのか?」と、そわそわしていた。
朝食後ヒゲソリと鼻毛・耳毛切りと整髪。
だいぶ赤くなっていた皮膚が落ち着いた色になっている。
午前9時20分お迎えバスに乗り込んだ。
午後4時過ぎ帰宅。
カラオケを楽しんで来たとのこと。
顔が赤いのを皆に心配して貰ったらしく、
自分が話題の中心になるということが嬉しい様子。
だんだん赤い部分が減ってきている。
■蕎麦と散歩2004/11/21(日)
 お昼に蕎麦を食べに行こうと姉が誘ってくれた。
おもちゃの町の蕎麦屋に連れて行く。
その後壬生町総合公園を散歩。
いい天気で気持ち良かった。
眠そうなので、家に戻ってコタツに座らせるとすぐに熟睡。
目が覚めたときに「針をさしたんだよ」と言い出す。
寝ぼけているようなのでベッドに誘導して寝かせた。
夕食の準備をしていたら父がおきてきて、
「車の後ろに・・・」となにやら言い出す。
鍋の火を一旦消して話を聴いてみた。
父は車に作品が載っていて、送らないといけないとか、
30年前の上司がお金をまとめているとか話し出した。
今朝から何をしたかを説明して昼に蕎麦を食べたとか、
その後公園を散歩して戻って寝たことを言ってみると、
「そうだよな。夢で見たんだな」と納得しはじめた。
夢で見たことが現実に感じるのは、いつものこと。
夕食後薬を飲ませて歯磨きさせて寝かせた。
■夢見ながら2004/11/22(月)
 朝父を確認しに行ったら起きていた。
大きな皿にご飯を盛って、ご飯だけ食べようとしていたので、
総菜を用意して食べさせた。
デイの準備でヒゲソリと鼻毛切りと整髪。
顔全体と頭皮がカサカサしているので薬を塗る。
午前9時お迎えバスに乗り込む。
午後4時帰宅。
たまたま隣のおじさんが植木の剪定をしていて、
父に「おかえりなさい」と挨拶してくれたのを、
無言で無視するかのように家に入った。
「何しに来たんだ?」と怒っているような表情なので、
「さっきの人はお隣のおじさんだから、
自分の家の植木を切っていただけだよ?」と言ってみた。
なんだか不満そうな表情。
挨拶する人は家の人だけと思っているのか、
俺の留守に家に来て何をしていたんだという認識なのか?
お茶を飲みながら何をしたか話していたら、
目を閉じて夢を見始めた様子。
またコタツのカバーをつまんだり、ひっぱったり。
しばらくどんな事をするか観察していた。
15分くらい寝ながら両手は動いている。
目を開けたかと思ったらいきなりハサミを取ろうとした。
あわてて起こしてハサミを取り上げた。
「たぼけて・・・きって・・・したんだよ」と
何かを説明しているのだけど判別出来ない。
夕食を食べさせて薬飲ませて歯磨き後寝かせた。
■行方不明2004/11/23(火)
 深夜2時に寝ているのを確認して寝たのだけど、
午前4時頃吐き気と腹痛で目が覚めた。
トイレに駆け込んだら冷や汗が滝のように出る。
同時刻に父が起きて来た物音がした。
ほぼ2時間サイクルで寝て起きてを繰り返しているらしい。
介護する方が倒れたら大変なことになるだろうなと想像してみた。
いろいろ考えてもしかたないので寝ることに。
朝起きて父を確認したらコタツで熟睡。
私の腹痛もだいぶ治まってきた。
午後4時過ぎ父がいないことに気付いた。
靴が無いので外に出たらしい。
2軒先のおじさんが父を連れてきてくれた。
「書道の道具がないか?」と2軒先の家に行ったらしい。
おじさんにお礼を言って室内に戻した。
「よその家に道具を預けたりしないでしょ。
ここに売るほど道具があるじゃない」と室内を見せた。
納得したのかどうか。症状の出ているときは何を言っても無理。
夕食後トイレに行かせた。
戻ったら「じゃあ行くから」と外に出ようとする。
家はここだよと説明して寝かせた。
その30分後玄関を出て行く物音が。
父が道路まで出ているので追い駆けた。
「どこに行こうとしたの?」と訊いてみると、
「むこうの家に帰る」と。
「ちょびがいるからここが家だよ」と説得して、
やっと「ああ、家だな」と解かったらしい。
室内に入れてベッドで寝かせた。

夜10時30分警察の刑事さん2人と、
制服のお巡りさんと一緒に父が帰宅。
目を離した時間はおよそ30分。
いなくなっていたことにも気付かなかった。
近くの小学校に入り込んで立っているところを
向いの住人が通報してくれたとのこと。
首から下げていた迷子札があったので連れて来てくれた。
上着とズボンに植物の種をびっしりと付けていたので、
ガムテープではがした。
ベッドに横になった父はすぐに熟睡しはじめた。
夢の中で行動していた感じ。
姉に電話をして警察のやっかいになったことを報告。
■ケアマネNさんに連絡2004/11/24(水)
 夜中に眠剤を飲ませたのが効いたらしく、
朝父を確認しにいったら熟睡していた。
起こして朝食を食べさせた。
寝ながら失禁していたので服を着替えさせた。
デイの準備をして午前9時のお迎えバスに乗せた。
ケアマネNさんに連絡して昨日の徘徊の話をする。
「申し込んでいる特養がすぐに入れないなら、
他の施設をどうにか探して欲しい」と伝えると、
「今日特養に行って状況を確認してきます。
それから他もあるかあたってみましょう」と
ケアマネNさんが動いてくれることに。
午後グループホームから連絡が。
「空きが出る予定なのでどうですか?」と。
ケアマネさんと相談して連絡することにした。
午後4時帰宅。比較的正常な感じ。
ケアマネNさんが家に来てくれた。
父は半分寝ている状態で挨拶していた。
「特養の審査会が12月のなかばにあるので、
それで通れば入所できるけど通らなかったら、
しばらく待つという状態になりそう。
その間だけでもグループホームに入所するか、
ショートステイをもっと利用出来るようにするか。
いろいろな方法を考えましょう」と。
グループホームの入所を電話で問い合わせた。
2〜3日後に「特養待ちの間だけ入所可能かどうか」の
連絡をしてくれるということになった。
ダメなときはショートを工夫するようになりそう。
夕食後しばらく昔話をして父を寝かさない努力をした。
話をしながら半眼になって辛そうなので、
ベッドで寝かせた。
今夜は徘徊しませんように。
■傘の字2004/11/25(木)
 深夜1時までは1時間毎に寝ては起きて。
徘徊するかなと警戒しながら様子をみていた。
朝ベッドで寝ている父を見てほっとする。
起こして朝食を食べさせた。
食べ終わるとすぐに目を閉じて寝てしまう。
このままだと夜中に動くだろうと思って、
起こして庭掃除をしながら日光浴させた。
室内で水墨画を描かせてみる。
「傘っていうのはどう書くんだ?」と
全余个などいろんな文字を書きだしていた。
見本を書いて渡すとどうにか書くことが出来た。
「傘には人が4人いるんだな」と面白がっていた。
竹の絵と達磨らしき絵を数枚描いた。
昼食後疲れたのかベッドで熟睡。
午後も書き物をしたりして比較的正常だったのが、
夕飯を食べた後からスイッチが入ってしまった。
「じゃあ、家に帰るよ」と言い出した後は、
自分の名前も言えなくなった。
住んでいる住所も解からない。
質問している私がどこの誰なのかも判別出来ない。
頭を抱えて考え込んでいるので、
「一日いろいろやって疲れたんだろうから、
ちょっとそこのベッドで寝ていこうね」と寝かせた。
怖いくらい瞬間に熟睡しはじめた。
想像すると、ご飯を食べてお腹いっぱいになって、
頭はその段階で熟睡していたのかもしれない。
7時10分過ぎ、父がいきなり起きて、
「名前解かったよ〜!」と言い出した。
「そうだよなぁ、前も名前が解からなくなって、
しばらく出てこなくて困ったことあったな。
いやぁすまなかった」と苦笑いしている。
以前に忘れたという事も思い出したらしい。
脳の回路がどうなっているんだろう。
■放火2004/11/26(金)
 朝テーブルの上にライターと燃えた割り箸が。
床に割り箸の袋の燃えた残りが落ちていた。
父に訊いてみると、ライターで火を付けた事は覚えていた。
「ライターがつくかどうか試した」と。
普段父が手に取りそうなところにライターは置かないのだけど、
仏壇に置いたライターを使用したようで。
夜中に玄関の鍵を開けたり、各部屋の電気を全部つけたり。
本人も記憶にないところで行動していたようなので、
理由なんてないのだと思える。
火がついたテーブルも父の部屋ではなく、
普段私たちがTVを見ている部屋だった。
燃え移って火事になっていたらと想像すると、
この程度で済んで良かったと思うしかない。
ケアマネNさんと相談して、今日のデイを変更。
ショートステイに替えてもらった。
午前9時お迎えの職員さんにも症状を説明。
父は半眼のまま頭が寝ている状態で乗り込んだ。
12月2日(木)まで7日間のショートステイの間に、
グループホームか長期のステイを検討することになった。

夕方グループホームに問い合わせたら空室が出たとのこと。
所長さんの話だと空室が出ても本人をみてからと。
来週中に父を連れてグループホームに行って決めることに。
土日に所長さんがいないので、29日(月)に連絡を取る予定。
■グループホーム入所決定2004/11/29(月)
 朝のうちにグループホームに問い合わせて、
今日面接してくれるということになった。
ケアマネNさんにも連絡を入れた。
父をショートで利用している施設に迎えに行って、
グループホームに連れて行く。
ここ数日の父の症状を記入したメモを持参。
父の状態からすぐに入所手続きしましょうということに。
契約書に記入して捺印。健康診断書の用紙を貰う。
12月2日の夕方に入所することが決まった。
グループホームは痴呆型の集団生活をする施設なので、
他の利用者も同じ症状の人ばかり。
ただし、病気などで入院するときは退所になってしまう。
特養の待機期間だけでも利用できれば有難い。
父はどこに連れて行かれて何をしてきたのか、
無関心なのか理解できていないのか。
私のことも誰かは解かっていない様子。
午前中に施設に父を送り届けた。
また午後3時に外出させて健康診断をする予定。

午後3時にもう一度連れ出して病院に連れて行く。
健康診断とレントゲン撮影と血液検査。
長谷川式痴呆症の判定をやった。
以前やったときはある程度答えられていたのに、
今回はほとんど答えられない。
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年はいくつ?・・・76歳×
今日は何年何月何日何曜日?・・・答えられない×
梅・犬・自動車・この3つを覚えておいてください。後で訊きます。
100-7はいくつ?・・・90×
さっきの3つ覚えておいたものはなんですか?・・・答えられない×
ヒントに植物・動物・乗り物と出してもらう・・・答えられない×
5つの物を見せて、後で何か答える
ペン・ハブラシ・時計・カギ・えんぴつ
野菜の名前を解かるだけ言ってください・・・かぼちゃ・トマト・きゅうり
さっきの5つのものが何だったか答えて・・・カギと鉛筆のみ答えた
今いる場所はどこですか?・・・答えられない×
家かな?病院かな?・・・病院と答える
*****************************************************
その後3mくらいの範囲を歩く状態をみる

「お風呂に入った後、お金を持ってきていないから、
歩いて帰ろうとしたらお迎えが来るっていうんで助かったよ」
と父は嬉しそうに話した。
血液検査をしただけなのに「身体が軽くなったよ」と喜ぶ。
施設に連れ帰ったら、「ここはどこだ?来た事あるかな?」と。
今どこに居て誰と何をしてきたかということも解からないらしい。
職員さんがショートの場所に誘導してくれた。




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