育老日記・痴呆の症状と向き合う備忘録
■書類依頼2005/2/4(金) |
午後老健に着替えを持って行く。 昼食後だったので父は個室のベッドで寝ていた。 話しかけても変わらず反応が悪い。 「元気?調子はどう?」と訊いてみると、 「いいよ」と簡単に答える。 すぐにまた眠り込んでしまう状態。 職員さんに普段の様子を訊く。 以前と同じく寝たり起きたりを繰り返しているらしい。 朝は目覚めが悪く、夕方から夜にかけて元気になるそうで。 洗濯物をロッカーから引き上げて老健を出た。 帰りに大学病院へ。 心療内科の受付に書類を渡し、 記入後郵送してくれるように頼んだ。 ■転んだ痕2005/2/10(木) 夕方老健に着替えを持って行く。 父は食堂に居て車椅子に座っていた。 声をかけてみたけど、私だという認識は無い様子。 しきりに立ち上がろうとして動いている。 職員さんに様子を訊いてみると、 「今日は調子がいいようです」とのこと。 左の頬に2箇所と、両手の甲に青あざが出来ていた。 大きな絆創膏も貼られている。 「これ、ぶつけちゃったの?」と父に訊いてみた。 しばらく自分の手を見ていたが反応が無い。 夕食はとろみ食で、おかゆには手を付けない。 自分でスプーンを使って食べる事が出来た。 「まだあるよ」とスプーンでクチに持って行くと、 「もうたくさん」と言って食べない。 相変わらず何かを話しているのだけど聞き取れない。 隣の人のお手拭に手を伸ばしたり、お茶を取ろうとする。 「お父さんのはこっちだよ」と渡してあげると、 「トイレに行こうとして、ころんだんだ」と言い出す。 さっきの質問から10分は経過していた。 そのうち小鉢を手に取る。 中身は食べたのに何をするのかなと思ったら、 かじりはじめた。 食器が食べ物に見えたらしい。 「もうお終いね。ちゃんと食べたね」と取り上げた。 職員さんが食後の薬を持ってきてくれたので、 とろみのついたお茶で飲ませた。 その後洗濯物を引き上げて帰宅。 ■会話が出来た2005/2/17(木) 午前中老健に行く。 洗濯物の一部が洗ってタンスに入れられていた。 汚れがひどい物は洗ってくれるらしい。 持って行った服をタンスにしまう。 父は食堂に車椅子で座っていた。 声をかけてみると、はっきりした返事が返ってきた。 「わんこちゃんは元気にしてるか?」と父から問いかけが。 「15歳になったよ。白内障が進んでるから、 ちょっと弱っちゃったけどね」と言ってみると、 懐かしそうに笑った。 首周りや肩をもんでみると、以前のような硬さが無い。 転んでぶつけた痕もずいぶん良くなってきている。 大声で叫び続けているおばぁちゃんの声に反応して、 「いつもああやって騒いでるんだよ」と小声で言う。 以前は周りの人に無関心という感じだったのに。 眠そうにあくびを連発していたので、 「また来るからね」と父に言ってから、 普段の様子を職員さんに訊く。 以前より昼間起きている事が多いそうで。 神経内科の薬も効いているらしく調子も良いとのこと。 最近は部屋から自分で歩いて出てきたりするらしい。 今月末くらいには4人部屋に移動する予定だとか。 先週まではまともな会話が出来なかったので、 かなり快復している感じ。 職員さんに鍵を開けてもらう。 (痴呆専用なので利用者が外に出ない為に鍵がかけてある) その後、汚れ物を持ち帰った。 ■4人部屋に移動2005/2/20(日) 姉から報告: 老健に行ってみると、4人部屋に移動になっていた。 今日は反応が悪くて会話にならなかった。 職員さんと薬が効いている事や、 動きが良くなった話をして来たよ。 着ていた服は汚れが付いていたので、 着替えさせて汚れ物と一緒に持ち帰ってきた。 ■熱出してた2005/2/24(木) 午前中に老健に行く。 食堂に姿が見えないので、部屋に行ってみる。 父は少し赤い顔をして寝ていた。 額に手を当ててみると熱い。 話しかけても反応が悪く、返事も声が出ない。 眉毛のすぐ上に絆創膏が一枚貼ってあった。 4人部屋の東窓際。 職員さんが、丁寧な床掃除をしてくれていた。 ベッドサイドにある棚に服を入れようとしたら、 棚がひとつ壊れていた。適当に突っ込む。 病院の棚と同じようなタイプ。 「また来るからね」と部屋を出た。 ケアマネ兼職員さんに様子を訊いてみた。 昨日また動いて転んだらしい。 「職員が付いていながら申し訳ないです」と。 拘束で自由が無い状態だと怪我はしないけど、 動き回れる自由が有るのも本人には必要だと思える。 反応が悪い日は寝かせたり、起こして活動させたりと、 細かい配慮をしてくれている様子。 洗濯物を引き上げて帰宅。 ■特養申込アポ2005/2/28(月) 利用している老健と経営が一緒の特養にも、 申し込みをしようと電話連絡した。 3月4日(金)午後3時に特養のアポイントを取った。 申し込み説明をしてもらうことに。 施設説明と内部見学させてくれるとのこと。 用紙を貰って来て、後で記入提出になりそう。 ■特養申し込み2005/3/4(金) 午後老健に行く。父はベッドで寝ていた。 夢の中で何かを食べているような動き。 話しかけると返事をするようなのだけど、 相変わらず何を話してるかは判別出来ない。 ケアマネ兼職員さんに様子を訊いてみた。 「2〜3日前から熱がまた出て、 検査したらインフルエンザではないようです。 昼食は半分くらい食べられました。 話しかけると、 『人間良い事もあれば、悪い事もあるなぁ』と はっきりした言葉が出たりします」 今日特養の申し込みをすると話をしたら、 要介護度の再審査をした方がいいとのこと。 現在の状態だと「要介護5」に該当するらしい。 去年12月の段階では要介護3だったので、 状態が変わってしまっている。 老健施設のケアマネさんから申請を出してくれることになった。 特養に行って申し込みをした。 優先性の高い人から入所になる。(厚生省令39号) 審査後、待機か入所が決まるという説明を聴く。 申し込み書に記入。 職員さんの案内で施設見学をする。 必要書類を老健に戻って記入依頼した。 入所申込者調査票は来週にでも記入して持って行く予定。 ■特養書類提出2005/3/5(土) 昨日貰って来た書類を記入して特養に提出。 ついでに父の着替えを老健に届けた。 まだ熱が下がらないらしく、ぼーっとしている。 ベッドの脇に加湿器が置いてあった。 室内に濡れタオルが大量に下がっていたのと、 床にも置いてあった。 湿度を上げるようにしているらしい。 滑らないように注意して歩く。 ロッカーに着替えを詰め込んで、 汚れ物を引き上げて帰宅した。 夕方老健から熱が下がらないのでもう一度検査したら、 インフルエンザのB型が検出されたという連絡が。 熱さましの薬を使用しましたとのこと。 容態に変化があったらすぐに連絡してもらうように頼んだ。 ■熱下がる2005/3/9(水) 午後老健に行く。 父はベッドに寝ていた。 ひたいを触ってみると熱は下がっている。 何かを延々と話しているのだけど、 言葉がはっきりしていないので内容は理解出来ない。 時々ご飯を食べるような仕草をする。 誰が来たのかとか、今どこに居るかは解らないみたい。 ケアマネ兼職員さんに様子を訊く。 熱はだいぶ下がったけど反応は相変わらずとのこと。 ■インフルエンザ完治2005/3/15(火) 今日の父は相変わらず寝ていた。 何か喋ってるらしいけど、クチがパクパクするだけ。 話しかけると反応するけど、解っているのかは不明。 目には澱んだ膜がはっている。 時々何かを見ているような視線が空中を漂っていた。 ケアマネ兼職員さんに様子を訊く。 インフルエンザは完治したとのこと。 時々ベッドから起き上がれないので、 寝たまま食事を取ることもあるらしい。 良くも悪くもなっていないという状態。 ■高齢福祉課に連絡2005/3/22(火) 19日(土)に介護保険認定について留守電があった。 老健から要介護度の認定再調査の依頼を、 ケアマネさんが出してくれたようで。 午前中に電話してみたら認定担当者は不在。 ・老健に入所中なので、調査時に家族も立ち会う? ・日程を決めるとすると、老健の都合も確認しないと。 ・認定調査担当さんが直接老健に日程の調整をする? という疑問点の内容を伝えておいた。 ■調査日決定2005/3/23(水) 午前中に老健に行って父の様子を見てきた。 ベッドに寝ていて呼びかけにも反応しない。 閉じた瞼の裏で眼球が動いているので、 何か夢を見ているらしい。 頬がこけて、かなり痩せてしまっている。 目を開けたので話しかけてみると、 クチをぱくぱく動かすだけで言葉にはならない。 すぐにまた寝てしまった。 汚れ物を引き上げて帰宅する途中で留守電が入っていた。 伝言を聞いてみると、 「アンドウ・シズさんの認定調査は10月23日になりました」 なんてことが入っていた。いったい誰?アンドウ・シズさん。 しかも3月に10月の連絡してるし。 すぐに高齢福祉課に電話して、 「知らない人の名前と認定日が留守電に入っていた」と伝える。 調査員は相手をちゃんと確認してから連絡して欲しい。 施設のケアマネさんに調査員さんから直接連絡して、 父の再調査日は3月29日(火)午前10:30からに決定した。 家族の立会いが出来るならして欲しいけど、無理ならいいらしい。 調査に行く前から要介護度がほぼ決定しているような感じ。 ■再調査2005/3/29(火) 午前老健に行く。 前回汚れ物の中に他の利用者さんの物が紛れていたので、 事務所で職員さんに渡した。 市の再認定調査員とケアマネ兼職員さんと話す。 現在の状況をチェック。 1pくらいのじょくそう(床ずれ)が出来ている。 寝返りが出来ないので体位交換を定期的にしている。 入浴は機械浴・車椅子も寝かせた状態のものを使用。 座位保持が出来ないので全介助。 視力・聴力も判定不能。 呼びかけに反応する事もあるので、 聴力は多少あるらしい。 とろみ食と水分もとろみをつけている。 薬はとろみをつけたものと一緒に。 食事時間は1回1時間以上かかる。 食事中に寝てしまったり、中断する事もしばしば。 呼びかけに対しての反応が悪い。 排尿排便は全介助。 父はベッドに寝たきりで周りの声に反応しない。 「先生元気かな?」と声をかけてみると、 反応して声を出そうとしていた。 チェックが終わって汚れ物を回収しようとしたら、 無かったので帰宅。 ■車椅子に寝ていた2005/4/5(火) 今日の父は少し調子が良いらしい。 探すと広間で車椅子に寝かされた状態だった。 話しかけてみると反応が良い。 他の利用者がリハビリ体操をする声を聞いて、 手を動かそうとしていた。 「指回し運動ってこうやるんだっけ?」と 父の指を動かしてみる。 嬉しそうに笑った。久しぶりに笑顔を見た。 声は出ないけど、クチはパクパク動かしている。 「庭に芝桜が咲いたよ」という話をしてみると、 あたりをキョロキョロと見回したり。 職員さんに普段の状態を訊いてみると、 「ベッドに寝ている日と、車椅子に寝る日がある。 反応は相変わらず」とのこと。 その後汚れ物を持ち帰った。 ■歩きてぇ2005/4/12(火) 午前中老健に行く。 ちょうどリハビリの時間らしく、 他の利用者さんがほぼ全員広間で体を動かしていた。 父はベッドに寝た状態。 声を掛けてみると、反応が良い。 桜が満開になった話や、近所の自衛隊が記念日だという話をした。 父は嬉しそうに笑った。 しゃっくりが出て、しばらく止まらない様子。 部屋に誰もいなかったので、童謡を歌ってみた。 声は出ていないけど、クチは動いている。 その時同室のおじいちゃんがタオルを持って入ってきた。 窓を一生懸命開けようとしているのだけど、 施錠されていて開かない。 いきなり父と私を見て、 「ここは静かだから、子供のお守りするには良いね」と言い出す。 童謡を歌っていた=子供が寝ていると思ったのか、 父の事を赤ちゃんだと思っているようで。 職員さんが検温に来たので、様子を訊いてみた。 「リハビリの時に「歩きてぇ」と言ったので、 両方から抱えて立ち上がらせてみたら、 ふらつきながらも3歩自力で歩きました」と。 少しでも動く努力をさせてくれるのが有難い。 爪が伸びていたので、職員さんに切るように頼んだ。 その後汚れ物を持ち帰った。 ■要介護52005/4/13(水) 要介護認定審査の書類が届いた。 要介護5・有効期限:平成17年3/11〜平成17年9/30 申込をしてある特別養護老人ホーム数箇所に連絡。 老健に介護保険証を届けた。 4月からリハビリが充実したらしく、 リハビリ実施計画書の説明を受けた。 計画書には、父の状態が書かれてある。 「足の筋力低下・廃用性に伴う間接が固い。 日常生活を楽に行えるような筋力の維持。 稼動域の維持を図りたい。 精神面の活性化目的にレクリエーションと作業療法を行う。 体調に合わせてリハビリを行っていく」 今日の父は終始何かを話していた。 時々言葉が判別出来るくらい普通の声が出たり。 「蕎麦・岩船(父の実家)・せいちゃん」などが判別出来た。 私が話す事に反応して笑い顔になったり困った顔になったり。 父の手をマッサージしながら動かしてみた。 左手は麻痺して硬く動かない。 右手で空中にある何かを取ろうとして、しきりに動かしていた。 ■反応が悪い2005/4/17(日) 姉と一緒に老健に行く。 今日の父は反応が悪い。 昼食後の眠い時間だったからなのか、 話しかけてもほとんど反応しない。 目が濁っていて、うつろな状態。 手を握ってみたり、指をマッサージしたり。 姉が足をさすってくれた。 急に痙攣して、全身を震わせたのにはあせった。 すぐに震えが止まったので、そのまま寝かせておいた。 ■特養に行ってくる2005/4/22(金) 午前中老健に父の様子を見に行く。 ベッドに寝たまま体は動いていない。 額に手を当ててみたら、熱っぽい。 いつもと同じに話しかけた事に反応して、 何かを話そうとしている。 クチがぱくぱく動くのだけど、声が小さくて内容は解らない。 季節の話をすると外を見るような仕草をする。 左手をマッサージしてみたけど、硬直が進んでいる。 汚れ物を持ち帰った。 帰り際に申し込んである特養から連絡が。 以前提出していた書類を再度提出してくれとのこと。 要介護度が変更になったので、審査会に必要なのだとか。 待機の順番が繰り上がるだけで、すぐに入所出来る訳ではない。 特養に寄って書類を貰って来た。 ・健康診断書 ・入所に係る介護支援専門員意見書 ・介護保険証のコピー 老健の担当者に電話連絡して、来週書類を持って行く事にした。 ■書類依頼2005/4/25(月) 朝一番に老健に行って、書類を依頼。 父の様子も見に行った。 ちょうどオムツの交換をしている時だったので、 職員さんに「いつも良くして頂いて有難うございます」と伝えた。 父は声を出して何かを話していた。 相変わらず内容は判別できない。 両足が腕くらいの細さになってしまい、 筋肉がほとんど落ちている。 横向きにさせようとしても体が硬直して動かない。 若い職員さんが手際良く体移動してくれた。 新しいズボンを履かせるだけでも、重労働。 脱がした服が汚れていたのを職員さんが処理しようとしてたので、 「洗濯機が洗うから大丈夫」と袋に入れて持ち帰った。 ■特養入所決定2005/4/28(木) お陰様で特養入所が決まりました。 ご尽力下さった皆様有難うございます。 午前中に申し込んである特養から連絡が。 「部屋が空きそうなので、書類の提出をお願いします」とのことで、 老健に連絡して書類が出来上がっているのを確認。 すぐに老健に取りに行った。 お昼時に行ったので、父は食堂のソファーに座っていた。 話しかけると、相変わらず何かを話しているけど理解できない。 右手であごや鼻を触ったりしていた。 今日の父は顔色も良く、調子が良さそう。 診断書と意見書を貰って特養に届けた。 入所の話が進んで、すぐに契約という事に。 5月9日午前中に搬送する事になったので、老健に連絡。 仕事中の姉に連絡して、契約書に署名捺印をして貰いに行く。 特養に戻って契約書を提出。これで入所が決定した。 自宅に戻ってから福祉タクシーを手配。 ストレッチャーで寝かせた状態で搬送するタイプに決める。 決定した特養は以前デイとショートで利用していた施設なので、 家からも近いし、なにより職員さん達が顔馴染みなのが有難い。 個室ユニットタイプなので面会も気兼ねしなくて済みそう。 |